「うおぉぉぉい!!朝倉!!」
どうしてこうなった。
サッカー日誌
あの日から、円堂守による、勧誘という名のストーカーが始まった。
「っげ!出た!!」
ある時は昇降口。
「サッカァァァァやろぉぉぉぜぇぇぇぇ!!!」
「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
またある時は図書室。
そして………。
「サッカー部に入れぇぇぇぇ!!!」
「ここは更衣室だボケェェェェェェェ!!!!」
円堂のおかげ(?)で、私の名前と顔は全校生徒に知れ渡り、たくさんの友達が出来た。
けれど、ここまでしつこいと我慢の限界。ついにボルテージがMAXに達した。
「…っいい加減に……しろォ!!」
「うおっ!?」
「毎日毎日ふざけんなっ!」
どんなに逃げても、クラスは同じで席も隣なために意味がない。正直疲れた。言っちゃ悪いがとてもとっても迷惑だ。
「ふざけてねぇよ!俺はお前とサッカーしたいんだ!!」
「っ……サッカーは…………もう…やめたんだ。」
「なんでだよ!?あんなに上手いのに!!なぁサッカーやろう!」
ニカッと笑う円堂の顔に、リョウが重なった。
真っ直ぐでキラキラしてて、一緒にいるだけで温かくなる太陽みたいな存在。
切望してやまない、私の中で一番大きな存在。
取り戻したいのに、今の私にはソレに触れることがとても怖かった。
「もしかして、病気のこと気にしてんのか?」
心配そうな彼を見るだけでズキズキと胸が痛んだ。
「大丈夫だって!治ってからでも、」
「私の何を知ってるってんだよ!!」
「朝倉、」
何も知らないクセに、何も出来ないクセに。
「勝手なことばっかり言うなよ!」
目の前で大切な人を失う辛さもその恐ろしさも、他の人には分からないんだ。分かるハズがない。
大好きだった人は、もうこの目に映すこともこの手で触れることも出来ない。
「もう、嫌なんだよ…。」
もしあの日君を助けることが出来ていたのなら、目の前の太陽が陰ることもなかったのかもしれない。
笑う貴方が好きでした
(気付いた時、)
(既に君は眠っていた。)