──情けない。
遠のく意識の中で、なんとも言えない悔しさが渦巻いていた。
サッカー日誌
急な頭痛に顔を歪め、俯く。
視界が揺れ、身体が震え始めた。
気持ち悪い。
別に初めてのことじゃないから驚きはなかったし、怖くもなかった。
だけど、コレが一度始まると苦しくなって身体が動かなくなる。
まだ試合は終わってないのに、まだ彼らが戦っているのに。
「っ……ゴホッ、」
咳が止まらない。苦しい。悔しい。
──サッカー、したい
視界がグラリと大きく揺れ、足に力が入らなくなった。
支えを失った身体は崩れるように倒れた。
ぼんやりとした意識の中、誰かの叫ぶ声が聞こえた。
「え、んど…う、」
遠くに見えた円堂は、酷く驚いた顔をしていた。
「朝倉!!」
──
──────
どうして、私はいつも守ることが出来ない?
いつだってそう。大事な時に限って身体が動かなくて、結局誰も守れないんだ。
(泉!)
私が弱いから。
(あのな、泉。)
大切な人を守れないのは、私に力がないから。
(俺さ…サッカー、大好きだ!)
リョウ、私もサッカー好きだよ。
だけどそれでも、やっぱりリョウの方が大切だから、
(なぁ朝倉、俺達とサッカーやらないか?)
(サッカーってすんげー面白いんだぜ!!)
(朝倉!サッカーやろうぜ!!)
君のいないフィールドには、もう二度と戻らない。
愛しき君よ
(これ以上大切なものを、)
(失うのが怖かった。)