06.






──情けない。

遠のく意識の中で、なんとも言えない悔しさが渦巻いていた。



サッカー日誌




急な頭痛に顔を歪め、俯く。

視界が揺れ、身体が震え始めた。


気持ち悪い。


別に初めてのことじゃないから驚きはなかったし、怖くもなかった。

だけど、コレが一度始まると苦しくなって身体が動かなくなる。

まだ試合は終わってないのに、まだ彼らが戦っているのに。




「っ……ゴホッ、」




咳が止まらない。苦しい。悔しい。



──サッカー、したい



視界がグラリと大きく揺れ、足に力が入らなくなった。

支えを失った身体は崩れるように倒れた。
ぼんやりとした意識の中、誰かの叫ぶ声が聞こえた。




「え、んど…う、」




遠くに見えた円堂は、酷く驚いた顔をしていた。





「朝倉!!」



──
──────




どうして、私はいつも守ることが出来ない?

いつだってそう。大事な時に限って身体が動かなくて、結局誰も守れないんだ。




(泉!)




私が弱いから。




(あのな、泉。)




大切な人を守れないのは、私に力がないから。






(俺さ…サッカー、大好きだ!)






リョウ、私もサッカー好きだよ。

だけどそれでも、やっぱりリョウの方が大切だから、





(なぁ朝倉、俺達とサッカーやらないか?)



(サッカーってすんげー面白いんだぜ!!)






(朝倉!サッカーやろうぜ!!)






君のいないフィールドには、もう二度と戻らない。













愛しき君よ


(これ以上大切なものを、)

(失うのが怖かった。)








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