05.






グラグラと揺れる視界の中に、金髪のポニーテールが飛び込んだ。



サッカー日誌





「…え、」





突然現れた目の前の人物に、俺は目を見開く。

そいつは、帝国の選手が蹴ったボールをいとも簡単に取ってみせた。

太陽の光にキラキラと輝く髪も、予備ユニフォームの袖から伸びる色白な腕も、俺が知っている人物のものだ。





「朝倉…?」





振り返った朝倉は、一瞬悲しそうな顔をしてから大丈夫かと聞いてきた。それに頷くと、今度はニコリと笑って前を向いた。





「少しだけ、少しだけなら力になれると思う。だから、」





諦めないで。

そう言った朝倉は、ボールを蹴ってフィールドを駆け上がった。

スライディングやタックルを物ともせず、あっという間に帝国のゴール前に立った朝倉は、ボールを高々と蹴り上げる。宙に浮かんだボールを飛び上がった朝倉がゴールに向かって思いきり蹴った。





「っ…源田!」





帝国のキャプテンが叫んだ。するとキーパーは慌てたように必殺技を出し、ギリギリのところでボールを止めた。





「……スゴいな、アイツ…。」





隣で呟いた風丸に、俺はただ頷いた。

それからは、一方的だった試合がボールの奪い合いになったり、俺達もパスが繋がったりするようになった。

少しずつ、少しずつ、流れが変わってきてる。





「よし!みんな最後まで諦めるな!!」





その時だった。

視界の隅で、誰かが倒れるのが見えて、観戦している生徒が悲鳴を上げた。





「だっ…誰か!救急車を呼んで!!」





倒れていたのは朝倉で、苦しそうに口元を抑えていた。

ドクリ、心臓が音を立てる。






「朝倉!!」






倒れた朝倉が目を開けることはなかった。

















希望は絶望に


(自分の体が、)

(冷めていくのが分かった。)





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