03.





転校から2週間程経ち、学校生活に慣れてきた頃。
校内は「サッカー部、帝国学園との練習試合」の話題でいっぱいだった。



サッカー日誌





「聞いた?サッカー部の練習試合の話。」

「知ってる!あの帝国とやるんでしょ?」




朝、登校した私の耳に、女子達の騒ぐ声が聞こえた。




「勝っちゃったりしてね!」

「無い無い。有り得ないから。」




キャハハハと笑う彼女らをよそに、私は教室へ向かう。

席に着いてなんとなくグランドに目を向けると、そこでは噂のサッカー部が練習をしていて、ゴール前──キーパーのポジションには、彼がいた。





「いいぞー!!ナイスパスだ壁山!」

「はいッス!!」





廃部の危機だというのに、呑気なものだ。

帝国学園サッカー部は40年間無敗の成績を誇る、フットボールフロンティア優勝の常連校である。

そんな帝国と未だ人数も足りていない雷門サッカー部では試合どころの話ではない。一方的なものになるのが目に見える。





「さすがだな風丸!すっげー速いぜ!!」

「いや、まだまださ。」

「よーし、この調子で頑張ろうな!!」





どうして笑っていられるのか。

どうしてあんなに前向きでいられるのか。

HRの5分前を知らせるチャイムが鳴り、慌てて片付けを始める彼らに、少しだけ頬が緩んだ。
















吊られ笑い


(楽しそうに笑う彼に、)

(思わず吊られる自分がいた。)





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