どうして神様はこんなに酷いことをするのか。
目の前の、稲妻マークが特徴的な門を見て、私は拳を握った。
サッカー日誌
父さんの転勤で戻ってきた稲妻町は、相変わらず稲妻マークとサッカーでいっぱいだった。
「じゃあ、呼んだら入ってくれ。」
ニコリと笑った担任の先生はそう言って教室に入って行く。
誰もいない廊下は空気がひんやりとしていて心地良い。私は軽く深呼吸をした。
「入れ。」
少し低めの先生の声が聞こえる。
ゆっくりとドアを開くと、たくさんの視線が刺さった。
「今日からこのクラスの一員になる、朝倉泉さんだ。」
「よろしくお願いします。」
ペコリと頭を下げると、拍手がなり響く。
席を指示され移動すると、チラチラと視線がついてくる。
足早に席に着き、顔を隠すように鞄を机に置くと、それと同時にさっきまでの視線が離れていくのが分かった。
ふぅ。息を吐いて前を見る。先生はHRの続きをしていた。
「なぁ、」
不意に隣から聞こえた声に振り向けば、オレンジのバンダナをつけた男子がこちらを見ていた。
「俺、円堂守。隣よろしくな朝倉!」
ニカッと笑った彼、円堂はギュッと私の手を握って上下に振った。
(俺、オオミリョウ。よろしくな泉!)
「…朝倉?」
脳裏をよぎった記憶に、思わず顔をしかめてしまった私を心配そうに見る円堂。
どことなく懐かしさを感じるその表情に一瞬怯みながらも、笑って大丈夫だと返した。
運命でしょうか
(彼と同じ笑顔が、)
(今の私には眩しかった。)