01.






その人は例えるなら太陽。

いつだってキラキラと輝いて、心をポカポカにしてくれる太陽だった。




「泉!こっちにパスしろ!」

「うん!」




サッカーがとても好きな人だった。

毎日毎日私の手を引いては近所の河川敷に連れていき、2人でひたすらボールを蹴っていた。

彼は真っ直ぐで元気で明るくて、誰にも負けないくらいにサッカー馬鹿だった。





「俺、絶対に世界一のサッカー選手になるんだ!」





そんな彼が大好きで、同じフィールドを走って同じボールを蹴っている瞬間が何より幸せだった。




───泉。




───泉?





「泉!!」





何故かその時目の前にあったのはトラックで、突然の事態に頭が回らなかった私はただ立っていた。
そんな私を彼は名前を呼びながら引っ張る。




──キィィィッ




世界がスローモーションに見えた。
大きなトラックの影に消えていく彼を見て、思考の止まっていた頭にビリビリと衝撃のようなものがはしった。



周りの音は一切聞こえない。
その静寂な世界で私が見たのは、




血に染まったボールと、大好きな彼だった。












それは絶望


(音の無い世界で、)

(私は終わりの音を聞いたんだ。)






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