21.






「マジで恨むぞ先生………。」





サッカー日誌





帰りのホームルーム終了後、早く部活へ行ってみんなと練習をしようと教室を出ると、待っていたのはさっき出て行った筈の担任の先生でそれはそれはにこやかに笑っていた。あぁ、またか。無言で渡された大量のノートと授業用の資料を置いて、先生はポンと私の肩を叩くと片手を軽く振りながら去って行ったのだ。全く……、こっちは地区大会の決勝戦が目の前だというのに。少しは私の都合も考えてほしいものだ。早く行かないとまた円堂が拗ねてしまうじゃないか。とは言っても、いつぞやの失敗で一気に運ぶと危険だということが分かっているので数回に分けて運ぶしかない。面倒臭いが仕方ないだろう。溜め息吐いてから、とりあえず資料を運ぶことにした。





「……重い。」





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やっと片付いてすぐに着替えるとグランドへ走った。練習はすでに始まっていたが(時計を見ると30分も過ぎていた。夏未の雷決定だ畜生。)、円堂は集中しているらしく拗ねてはいないようだ。ホッと安堵の息を吐いて秋達のいるベンチに向かった。





「ごめん遅れた!」

「ちょっと泉さん遅いわよ!選手としての自覚が足りないんじゃなくて?」

「ちーがーいーまーすー。先生にパシられてたんだよ。」





相変わらずツンツンした夏未は遅れてきた私を睨みながら怒る。あんまり大きな声を出すもんだから、豪炎寺達とシュート練をしていた円堂に気付かれてしまった(げ、駆け寄ってきやがった)。





「朝倉!!」

「うおぅ!…いやあの、遅れたのにはちゃんと理由が、」

「新監督決まったんだ!」

「………………………………は?」





走る勢いのままに飛びついてきた円堂は(痛い痛い痛い!今腰がグキッていったぞオイ!!)、ものすごい力で私の肩を掴むとガクガクと揺らした。





「新監督…マジでか。」

「それがホントすげー人なんだよ!」

「へー。マジでか。」

「サッカー経験者でさ!」

「ほー。マジでか。」

「なんと、元イナズマイレブンの響木正剛さんなんだ!!」

「ま、…………マジでか!!」





ニカッと笑った円堂の後ろから出てきたのは紛れもなく響木さんその人で、響木さんは恥ずかしそうに鼻の頭を掻きながら私の目の前にやってきた。





「そういうことだ。よろしくな、泉。」

「え!?監督と朝倉って知り合い!?」

「まあ……今私、響木さんちに住んでるしな。」

「え!?」





なんで教えてくれなかったんだよ!再びガクガクを始めた円堂に苦笑いしながら(というか、ものっそ痛いんでやめて頂きたい。)、雷門中サッカー部に囲まれて幸せそうに笑う響木さんを見ていた。















何があったかは知らないけれど


(とりあえず、結果オーライってことで!)

(今はまた一緒にサッカー出来るという喜びに浸っていたい)








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