11.







「あれ?…朝倉!」


見つかってしまった。



サッカー日誌





「本当に来てくれたんだな!」




嬉しそうに私の横で飛び跳ねる円堂を見て、思わず顔を引き吊らせた。


これから行われるのはフットボールフロンティア地区大会準決勝。

来るつもりはなかった。適当な理由をつけて後日謝ればいい。見たところで私には何のメリットもないんだ。サッカーは必要ない。もう二度とサッカーと関わったりしない。


そう、思っていた筈なのに。気付いたら私はここに向かっていて、見たくない、行きたくないというのに、体は止まらなかった。




「俺達絶対勝つからさ、応援しててくれな!」




逃げたい。この太陽のような輝きが届かない程遠くに逃げてしまいたい。





──泉!!





なのにそれが出来ないのは、あの日の彼が、鎖のようになって私を繋ぎ留めるから。


ごめんなさいなんて、意味のない言葉は言わない。だってきっと、彼は今の私を見たら、泣きそうな顔をして怒るから。





「いい試合にするからな!サッカー、すっげー面白いからな!!」





知ってるよ、君達がつまらない試合なんかしないって。サッカーはとても面白いスポーツなんだって。



分かってるよ、私がしていることは無意味だって。彼への償いにはならないんだって。




私は、サッカーが好きなんだって。





「絶対絶対、最後まで見ててくれよ!!」





いつだって、神様は意地悪だ。

どんなに辛くても、苦しくても、逃げ道なんかくれないんだから。













許されたのは進むことだけ


(彼と絶望の過去を歩むのか)

(君と希望の未来を歩むのか)







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