08.






「重っ!!」



サッカー日誌




プルプルと震える私の腕には2クラス分のノートが抱えられていて、歩く度に揺れるソレは今にも落ちそうだ。




「……クソッ…。」




腕が痛い。先生は鬼畜なのかそうだったのか。

運悪く生活係(別名、先生のパシリ係)になってしまった私は、度々先生に呼ばれては手伝い(パシリ)をさせられていた。






「あと、少し…。」






もう少しで職員室に……着かねーよオイ。なんで雷門はこんなに廊下長ェんだよ。嫌いなの?建築した人は私が嫌いなの?

そんなことを考えていたら、急に床がツルッとして足を滑らせてしまった。



ドサドサッ



……最悪だ。

誰もいない廊下に散らばったノートを見て溜め息を吐く。とりあえず拾わないとどうしようもないので、立ち上がってポンポンとスカートの埃をはらってからノートを拾うことにした。…時だった。





「大丈夫か?」





聞こえた声に振り返れば、逆立った白い髪が特徴の彼がいた。名は確か…豪炎寺、だったろうか。


私がここに来る少し前に転校してきたらしい彼もまた、円堂からの猛勧誘を受けていた。(なんでも、帝国戦で勝てたのは彼のおかげだとか。)(円堂に聞いた。)


豪炎寺は私の傍までやってくると、テキパキとノートを拾い始めた。






「これで全部か?」

「あぁ!ありがとう、手伝ってくれて。」






あっという間に拾い終えたノートを見て豪炎寺にお礼を言った。それから再び職員室に向かおうと山積みのノートを持ち上げたのだが、





「手伝う。」





そう言って私から半分以上のノートを取っていったのは豪炎寺で、彼は驚く私をよそにどんどん廊下を進んでいく。




「あ、ちょっ……待てって!!」




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「ホントに、何から何まですいません…。」

「今度からは分けて運ぶか誰かに手伝ってもらえ。」

「…おっしゃる通りでございます。」




やっと大量のノートから解放された私は、職員室の前でヘコヘコと頭を下げていた。


豪炎寺が元々無表情なせいか、怒っているのかそうじゃないのかよく分からなくて、とりあえず怒ってたら嫌だなぁ…なんて考えながら彼の言葉に頷いていた。




「…そ、それじゃ……また明日。」




とにかく少しでも早くこの場から離れたくて、ぎこちなく手を振りながら豪炎寺に別れを告げた。がしかし、パシッと振っていない方の腕が掴まれ前に進むことが出来ない。





「…あの、豪炎寺さん?」





やっぱり怒っていたのか!?そうだったのか!?

ダラダラと冷や汗が流れ、気まずい空気が辺りを包む。





「サッカー部に、入らないか?」






シンとした廊下に、豪炎寺の低い声が響いた。













お前もグルか


(だけどそれでも、)

(すぐに嫌だと言えない自分がいた。)








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