さん







本日初めてのレジを担当します名字名前です。只今目の前で素早い計算とお金の出し入れをしてくれているレジ子ちゃん(店長命名)と共に、カップ麺を大量購入しやがった男子高校生集団を撃退中。

見よ!私とレジ子ちゃんの素晴らしきコンビネーション!!隣でレジ太郎(店長命名)を使っている先輩もびっくりしてんだぜ。どやぁ。

ちょっとチビだから高い所に商品並べられなくて「あ、うん。掃除してきて。」と言われ続けた日々よさようなら。そしてこんにちはレジ子ちゃんとの素敵なコンビニライフ!今日はなんだか世界が明るく見えるよ!決して蛍光灯取り替えたばっかりだからとかじゃないよ!!


とかなんとかやってると、いつの間にか次のお客さんが来ていました。畜生。





「肉まん一つ。」

「はーい、かしこまりまああああああ志々尾くん!!」





お客さんはなんと志々尾くんでした。わーお、お姉さんびっくり。驚きのあまり何を頼まれたのか忘れちゃったよ。だけど志々尾くんが「ゲッ」って言ったのは一生忘れられない心の傷になるでしょう。





「何?夕飯の買い物?っていうかコンビニ弁当なの?」

「………。」





志々尾くん、無言で肉まんの蒸し器を見ておられます。チッ……肉まんのくせに志々尾くんを釘付けにするなんて…。私だってそんなに見つめられたことないのに…。





「おーい名字、ちゃんと仕事しような。」





コツンと先輩に頭を小突かれて我に返ると、目の前の志々尾くんは肉まんの代わりに私を見つめていた。





「そんなに見つめられるとお姉さん照れちゃう。」

「睨んでるんです。」





聞こえないなあ。とりあえずお給料を下げられたくはないので、渋々肉まんを紙に包んでお会計。あーあ、レジ子ちゃん計算早いから志々尾くんもう帰っちゃうよ。

溜め息混じりに「ありがとうございました」と言うと、自動ドアが開くか開かないかの微妙な位置で志々尾くんが振り返った。





「あの、」

「はい?」

「バイト…いつ頃終わるんすか……?」

「え?」






持っていた菜箸は、おでんの大根に穴を開けた。

















潰しちゃいました!


(ああああ大根様があああ!!)

(すいません、やっぱ帰ります。)





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