「しーしーおーくうううううん!」





朝。志々尾くんと学校に行くため、昨日と同じくインターフォンを押しながら大きな声で彼を呼ぶ。出てこないなー。照れてるのかなー。女の子と登校なんて恥ずかしいから居留守しようとか思ってたりして。何それ笑える。「しーしーおーくうううううん!」さあ、出てくるんだ志々尾少年。お前は既に包囲されている(私と家の壁に)。無駄な抵抗はやめなさい。「しーしーおーくうううううん!」





「うるせえ!!」

「あ、出た。」





わーお、デジャヴ?なんて言ってヘラヘラと笑うと、志々尾くんは心底嫌そうな顔をした。





「おはよう志々尾くん!」





そんな「マジかよコイツ」みたいな顔で見ないでよ。お姉さんだって精神のHPが無限にあるわけじゃないんだからね。毎日マイスイートハニー時音に癒されながらギリギリで生きてるのさ!





「ね、一緒に学校行こうよ!」

「…嫌です。」

「はい?」

「だから嫌で「はい?」





女は笑顔が一番怖いのよって下の階のあかりちゃん(烏森幼稚園のサクラ組さん)が教えてくれたのだ。





───────





「それでその友達がね、」





少しでも仲良くなろうと頑張って話しかけてはみるものの、私の言葉は右から左へ受け流されているようだ。志々尾くんめ……あんまり冷たくすると夜中にピンポンダッシュしちゃうんだからな。「ホント笑っちゃうよねー!!」「…………。」泣いていいです?





「あれ?名前じゃない。」





不意に後ろから声が聞こえて振り返ればマイエンジェル。「時音ええええええええ!!」「はいはい。」今日も可愛いよ美人だよ素敵だよ。志々尾くんに無視され続けたことにより、ズタボロな私のハートはこの時音様によって癒やされるのだ。嬉しさのあまり時音に頬ずりしていると、ドドドドとすごい勢いで近付いてくる第2のマイエンジェル。





「名前さん!時音から離れろよ!!」

「あら良守くんも頬ずりしてほしい?」

「ちげーよ!!」

「即答かよ!お姉さん悲しいだろ!!治りかけの傷えぐるなよ!!」





第2のマイエンジェルは、どうも鈍いというか頭が弱いというかで、私に精神的にダメージを負わせるのが得意らしい。悪意がないから余計にタチが悪い。





「で、あんたなんで限くんといるの?」

「え?あ、志々尾くんのこと?」





時音に名前呼びされるなんて、志々尾くん侮り難し。私だって名前で呼び合うようになるまで結構かかったのにー。「志々尾くんとは家がお隣なのです。」「そうなの?」志々尾くんはコクリと頷く。私の話にはなんの反応もしてくれなかったくせに……。ハッ!まさか時音を狙ってる!?私のスーパーウルトラキュートなマイエンジェルを狙ってる!?





「名前が隣だと大変でしょ?ごめんね。」

「なんで謝るのー!!」


















泣きますよ!


(うえええん!みんな遅刻しちゃえ!)

(ごめんね。名前が。)

(あぁ。)







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