いち






隣に男の子が引っ越してきた。表札には「志々尾」というなかなか珍しい名字があって、挨拶にはいつ頃来てくれるのだろうかと待っていたら2週間が過ぎていた。

え?お隣さんに挨拶しないの?高校1年で一人暮らしだからってナメてんのそうなの?

とりあえず腹が立ったので近くの和菓子屋さんで買った饅頭を持って志々尾さんとやらのお宅に乗り込むことにした。





ピンポーン





「しーしーおーさああああああん!!」





ピンポーン





「しーしーおーさああああああん!!」





ピンポーン





「しーしーおーさああ「うるせえ!!」

「あ、出た。」





わーお。志々尾さんはなかなかイケメンだ。管理人さんから中学生の男の子だということは聞いていたものの、顔を合わせるのは初めて。「よろしくね!」「…………。」戸惑う志々尾さんをスルーして買ってきた饅頭を押し付ける。っていうか志々尾さんって中学生だよね?志々尾くんでいいんじゃね?よし、そうしよう。





「あぁ、そう言えば自己紹介を忘れていたよ。」

「いや…別に聞いてな、」

「隣人の名字名前でーす!ちなみに鳥森学園高等部1年の元気いっぱい帰宅部だよ!」

「もう何も言うまい。」





改めてよろしく。ずいっと手を差し出して握手を求めたのだけれど、志々尾くんは無反応。「た、確かにかめ虫は触ったけど手は洗ったよ!?」「………。」まさか男の子のくせにかめ虫の臭いとか気にしてるの?やーだー!騒いでいたら渋々手を握ってくれたので良しとします。お姉さん優しいでしょ?どやぁ。





「あの、あんまデカい声出さないで下さい…。」

「もしかして近所迷惑とか思ってる?」





やだ志々尾くんったら良い子。でもそんなこと気にしなくてもいいんだよ。私だって気にしなくていいから大声出してるんだよ。そうじゃなかったら私ただの変人だよ。





「だってこの階に住んでるの君と私だけだから!」



















嫌そうな顔ですね!


(あ、頭領…あの、引っ越してもいいですか?)






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