ろく





今日は、厄日なのだろうか。

時音に怒られた後、すぐに家に帰ろうと校門に向かった私の目の前に、大きな怪物が現れた。

最初は何が何だかよく分からなくて固まったままだったのだけれど、怪物が腕を振り下ろした途端、本能的にそれを避けて数秒遅れの悲鳴をあげた。





(なにこれ?なにこれ!?)





人が作ったものにしてはリアルすぎるし、そうだったとしても冗談が行き過ぎてる。有り得ない。

走って走って走って。元々体力に自信があったわけでもなく、特別足が速いわけでもなく。私はあっという間に追い付かれた。






「ちょっ、と……!ふざけないでよマジで!!」





近くに落ちていた竹箒を拾って怪物に向ける。あ、私今ちょっと格好いい。

だけど所詮ただの竹箒。ビビるどころかニヤニヤと嫌な笑みを浮かべてこちらに近付いてきた。





(だめだ、)





終わった。

人生最後の日に深夜までバイトとか、時音に怒鳴られるとか、最後に見たのがこんな怪物とか。最悪だ。今なら死ねる。あ、死ぬのか。





「名前!」





時音の声がする。幻聴かな。最後の最後まで時音時音って、こんなんだからうざいって言われるんだよ、ホント。もう。





「鬱陶しいわああああああああ!!」

「ぐああああああ!!」

「あああああ、あ?………え?」





やけくそで竹箒を振り回した、ハズだった。握っていたそれは何故か光っていて、目の前の怪物は苦しんでいる。

状況はよく分からない。が、

竹箒すげえ!





「ハッハー!くらえ怪物!竹箒のご加護を!!」





さっきより光が強くなって、怪物が足元から消えていく。





「名前…?」





怪物も竹箒の光も全部消えて、静かになった辺りに響いたのは、愛しのマイエンジェルの声だった。


















消しちゃいました!


さて、なんと言い訳をしていいのやら。




[ 6/7 ]

第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -