「もうすぐ年明けだね、なまえさん。」
姉ちゃん達が寝てしまい、なまえさんと二人きりになった静かなリビング。「一緒に年越ししよう。」という唐突な僕の申し出に快く頷いてくれたなまえさんは、カウントダウンを見るまで寝ないでほしいという我が儘も二つ返事できいてくれた。
「なまえさん、眠い?」
「いいえ。勇太くんは平気ですか?」
「うーん…ちょっと眠いかなぁ。」
まぶたが重い。でもやっぱりカウントダウンが見たいから起きていたくて、閉じそうになる度カクカクと揺れる頭を軽くたたく。不意に伸ばされたなまえさんの手に誘導されるままに頭を動かすと、ちょうどなまえさんの肩辺りに寄りかかった状態になった。これはとても楽な姿勢だけれど、眠気が強くなる。もうちょっと、もうちょっとだけ我慢すれば年が明ける。
「勇太くん、カウントダウンなら来年も見れます。」
「でも、今年のはどうしても見たいんだ。」
なまえさんとカウントダウンを見れるのは今年だけかもしれないから。それでも意識は遠くなって、だんだんなまえさんの声が聞こえなくなっていく。
「今年だけじゃありません。勇太くんが──」
最後の方はほとんど聞き取れなくて、結局なんと言われたのかはあやふやだけど、ずっと握られていた手の温かさだけは夢の中でもずっと残っていた。
年明け十五分前勇太くんが年明けを見れるようになるまで、毎年一緒にいます。
最後の言葉は届いただろうか。小さな寝息をたてて眠る幼い上司はとても可愛らしい。いつか本当に年明けを待てるようになった頃、この子はどんなに成長しているのだろうか。少し開いたカーテンの隙間から見えた赤や黄色に苦笑して、私も寝ることにした。
いつかあなたや彼らと共に新しい年を迎える日が来るのを夢見て。
※すいません眠かったんです。
※考えてたネタがぶっ飛びましたごめんなさい。