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ガッ
「いっ!!!!」
侍ガール!
侍たる者、どんな時も我を忘れることなかれ。
瞬間よぎったのは父上の言葉だった。………が、
「っつあぁぁああ!!!」
タンスの角に足の小指をぶつけるという典型的かつ最も痛いとされるもののベスト3に入るであろう痛みを味わっても冷静でいられるのか父上よ。
少なくとも私は無理だ。
「うぅ………。」
だんだん退いてきた痛みに未だ足をさすりながらも、フゥ、と息を吐いて視線を上げた。
そこには、1枚の写真があって、幼い頃の自分とそれを抱きしめる男が写っている。父上だ。
父上は真選組の元副長で、とても立派な方だった。
今の副長である土方さんの前の代の人で、初代副長。あの頃は、土方さんはまだ1番隊隊長だった。
目つきは少々キツくて、口も悪いし、頭もさほど良くはなかった。
けれど、温かくて、真っ直ぐで、優しくて、強い。私の自慢だった。
2年前、私がまだ真選組に入隊していなかった時。任務中に父上は天人に殺された。
仕事上命に関わるのは当たり前だったから相手を憎むようなことはなかった。
(四季、お前は女の子だ。だが、女の子だって強くならなきゃいかん。)
(強くなるんだ。)
(大切なものを守れるように。強く、真っ直ぐに。)
今の自分が強いのかどうかは分からない。
だけど、父上のたくさんの言葉が、たくさんの愛情が、どんな時も私を支えてくれる。
父上のように立派に、強く優しく。私はそうありたい。
憧れの人
(どんなテレビのヒーローよりも強くてカッコいい、)
(父が私のヒーローだった。)
※主人公はパパさん大好きだけど、決してファザコンではないです
※ちなみにパパさんの名前は雅章(マサアキ)さん
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