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「フハハハ!!そこで指をくわえて見ているがいい!自分の下着が変態の手に渡る瞬間を!!」
「ちょっ…やめてェェェェェ!!」
侍ガール!
物干し竿に干されていたブツ(ピンクのちょっと気に入ってたヤツ)は褌仮面の手に渡ってしまった。
「あぁぁぁあぁあぁぁぁああ!!!!」
「おい四季!!落ち着けって!」
土方さんが必死にパニックになった私を抑えているけれど、褌仮面が私の下着を頭に装着してニヤニヤとするものだから、ついに私は土方さんを投げ捨てて奴に向けて刀を振り回した。
「ふ、副隊長ォォォォ!?どこ狙ってんですか…っておいィィィィィィ!!危ない!!」
隊士さんの声が聞こえたような気がしなくもなかったけど、とにかく今は目の前にあるあの忌々しい褌の首を叩っ斬らなくては。そう思って体勢を立て直し、刀を構えた時だった。カチャリと聞き覚えのある音がした後、急な爆発と共に塀の上をウロウロしていた褌仮面がふっ飛んで地面に落下した。その際に腰を強打したのか痛いと騒いでいる褌仮面の首筋にピタリと刀がつけられる。
「死にますかィ?それとも他界しますかィ?」
「いや、両方同じ意味っすよ………ね?」
「当たり前でィ。」
口元こそ笑ってはいるけれど、瞳孔が笑えない程開ききった沖田隊長はスッと刀を振り上げた。
「テメーに残されてんのは、地獄行きのチケットだけでさァ。」
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「……ほらよ、」
ポイッと投げて渡されたのは囮になっていた私の下着。座り込んでいる私に気まずそうに頬を掻いているのは沖田隊長。久しぶりに聞いたその声に、やっぱりミツバさんのことを思い出して泣きそうになった。
「なんで、助けてくれるんですか…。」
「それァ、」
「私が…ミツバさんに、似てるから?」
だから助けてくれるんですか?ミツバさんに似てることを抜きにしたら、隊長の中で私は何が残るんですか?隊長は私を、ミツバさんと重ね合わせないと前みたいに接してくれないんですか?
「四季、」
どうして貴方がそんな顔をするんだ。泣きたいのは私の方なのに。シンとした空気が痛い。隊長の後ろで近藤さんと土方さんが困ったような顔をしているのが見えた。
「姉上は、関係ねぇ。」
隊長の目が、真っ直ぐに私を捉えた。ゆっくりと歩み寄ってくる隊長に、持っていた下着がパサリと落ちる。
「四季は四季でィ。」
あんただから、助けたんでさァ。
どうしてだろう。隊長の言葉ひとつひとつに、苦しくなったり、嬉しくなったり、泣きそうになるのは。
知らない感情
(とりあえず今は)
(仲直り出来たことが一番)
翌日から隊長との仲が以前よりももっと良くなったのはまた別の話。
※下着で深めた2人の絆←
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