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隣を歩く姉上はどこか幸せそうで、自分の口角が上がってくるのが分かった。
侍ガール!
「今日はとっても楽しかった。ありがとう、そーちゃん。」
みんなによろしくね。そう言って駅の人混みの中に消えていった姉上。姿が見えなくなった後も、しばらくボーっとその方向を見ていた。
駅から出れば雨がポツポツと降りだしていて、道行く人々は慌てて建物の中に入っていく。
俺はそんな人々を横目に、屯所への道のりを歩き始めた。
四季と姉上を会わせることに少なからず焦りは感じていた。
2人を重ね合わせて見ていたことがバレるんじゃねーかとか、下手したら両方に嫌われちまうんじゃねーかとか。
だけど実際に会って仲良く話しをしている姉上と四季に、どこか安心している俺がいた。
(ミツバさんは、素敵な姉上様ですね。)
そう、四季に言ってもらえたことが嬉しかった。
他の誰から言われるより、四季に言ってもらえたことが、何よりも。
(そーちゃん、四季ちゃんのこと大切にするのよ?)
どっちも違う人間だってのは分かってる。悪いことをしているって、頭では理解出来てるんだ。
だけどそれでも、他の隊士と仲良く話す四季に、戦場に立って刀を握る四季に、土方のヤローと笑いあっている四季に、姉上を重ね合わせずにはいられなくて、
(まーた、土方クソヤローのとこ行ってたんですかィ?)
(もっと女らしい格好したらいいじゃねーかィ。)
(疲れたんで一緒にサボりやしょう。)
俺の我が儘なら聞いてくれるんじゃねーかとか、迷惑かけてるって自覚がない訳ではないのだけれど、一度目の前にした『姉上』を、手放すことは出来なくなっていた。
自分勝手と知りながら
(それでも俺は、)
(手に入れた日溜まりをなくしたくなかった。)
※よっしゃァァァァ!!ネタが出来たぜコノヤロー!!
※部活で先輩に相談にのってもらった(設定は隠した状態で)
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