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「お…い、アレ、」
猫野郎の驚いたような声に上を見た俺は、落ちてくるものを見て、心臓が止まった気がした。
侍ガール!
「四季っ!!」
落ちてくる黒いそれは隊服を着た四季で、俺の手は恐怖に震え、身体は固まった。
何やってんでィ!!四季が死んじまう!
無駄な時に動いてんじゃねーや、今、今動きなせェ!!
やっと動いた身体を、四季が落ちてくるであろう位置に置いて腕を伸ばした。
「四季!!」
声が聞こえたのか、俺を見て驚いた顔をする四季。それから、悲しそうに顔を歪めた。
なんでそんな顔するんでさァ。
腕なんか折れていい。俺が死んだって構わない。
必ず受け止めるから、そんな顔すんじゃねェ。絶対に死ぬんじゃねェ。
もうすぐこの腕の中に落ちる、そう思った瞬間だった。
黒い影が横切って、頭上から四季が消えた。突然のことに驚いて辺りを見回すと、近くの家の屋根に四季を抱えた猫野郎がいた。
「さく…や、くん?」
「大丈夫か?間に合って良かった。」
良いとこ取りとはまさにこのことで。
オイコラ糞猫。テメー俺の伸ばしてたこの腕はどうすりゃいいんだコノヤロー。笑ってやがる。四季に見えねーようにニヤニヤしてやがる。山崎テメーなんか変な目で見てんじゃねーよ。だから本編で出番ねーんだよ死ね。
「…っくそ、」
フツフツと腹の底から湧き上がる怒りを、攘夷志士共にぶつけてやった。
俺が助けてやりたかった
(そうじゃなきゃ、)
(終始俺ァ格好悪いじゃねーか。)
※落下時間長ェなオイ。
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