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心が、冷めていくのがわかった。
侍ガール!
男から告げられた言葉にショックを受けた私は、頭の中が真っ白になった。
「貴方には人質になってもらいます。」
せいぜい役に立って下さいね。そう言って男は、牢屋の周りにいた手下と思われる攘夷志士達を連れ、奥へと消えていった。
「……クソッ、」
───悔しい。
結局私は足手まといになってしまった。
このままじゃ、もっとたくさんの仲間が怪我をする。死者が出るかもしれない。真選組が、潰されてしまうかもしれない。
私のせいだ。私が悪いんだ。
土方さんの命令をきかなかった。守ることも出来ず、みんなに迷惑をかけた。
(四季。)
父上、私は…、
(強くなって、大切なモノを守れ。)
私は強くなれなかった。父上のように立派な侍になることは出来なかった。
──大切なモノを、
だからせめて、これ以上みんなの足手まといにならないように、私はここで死のうと思う。
少し高めの位置にある窓によじ登って外を見れば、遥か下の方にある地上。震える体を抑え、窓枠に足をかけた。
近藤さん、土方さん、沖田隊長、みんな。
迷惑かけてごめんなさい。大切にしてくれてありがとう。
飛び降りるのは怖いけど、みんなが怪我したり死んでしまったりする方が私は怖い。
(四季ちゃんも強くなったなぁ!!)
(オイ四季、あんま遅くならねーうちに帰って来いよ。)
(四季、山崎のとこから団子盗ってきやした。一緒に食いやすぜ。)
どんな時も一緒だった。私を守ってくれた。
名前を呼んでくれるだけで、隣で笑ってくれるだけで幸せだった。
「大好き、」
何よりも、貴方達が一番に。
逃げた私は卑怯者
(支えを失った体は、)
(重力に逆らうことなく、地上へ落ちてゆく。)
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