侍ガール! | ナノ


▼14






心が、冷めていくのがわかった。



侍ガール!



男から告げられた言葉にショックを受けた私は、頭の中が真っ白になった。






「貴方には人質になってもらいます。」





せいぜい役に立って下さいね。そう言って男は、牢屋の周りにいた手下と思われる攘夷志士達を連れ、奥へと消えていった。




「……クソッ、」




───悔しい。

結局私は足手まといになってしまった。

このままじゃ、もっとたくさんの仲間が怪我をする。死者が出るかもしれない。真選組が、潰されてしまうかもしれない。


私のせいだ。私が悪いんだ。


土方さんの命令をきかなかった。守ることも出来ず、みんなに迷惑をかけた。





(四季。)





父上、私は…、





(強くなって、大切なモノを守れ。)





私は強くなれなかった。父上のように立派な侍になることは出来なかった。





──大切なモノを、





だからせめて、これ以上みんなの足手まといにならないように、私はここで死のうと思う。


少し高めの位置にある窓によじ登って外を見れば、遥か下の方にある地上。震える体を抑え、窓枠に足をかけた。


近藤さん、土方さん、沖田隊長、みんな。


迷惑かけてごめんなさい。大切にしてくれてありがとう。

飛び降りるのは怖いけど、みんなが怪我したり死んでしまったりする方が私は怖い。





(四季ちゃんも強くなったなぁ!!)



(オイ四季、あんま遅くならねーうちに帰って来いよ。)



(四季、山崎のとこから団子盗ってきやした。一緒に食いやすぜ。)





どんな時も一緒だった。私を守ってくれた。
名前を呼んでくれるだけで、隣で笑ってくれるだけで幸せだった。



「大好き、」




何よりも、貴方達が一番に。













逃げた私は卑怯者


(支えを失った体は、)
(重力に逆らうことなく、地上へ落ちてゆく。)