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目が覚めると、そこは薄暗い牢屋の中。入り口付近には、数人の攘夷志士と見られる男がいた。
侍ガール!
ズキズキと痛む頭を抑え、ここがどこだか確認しようと起き上がると、男達はこちらを向いた。
「オイ、お姫様のお目覚めだぜ。」
ニヤニヤと笑う彼らに苛立つが、今は余計なことはしない方がいいだろう。
志士達を軽く睨んでから辺りを見渡す。
牢屋の中にあるのは、私が今乗っているベッドのみ。実にシンプルな造りである。
「状況確認とは…随分と余裕そうですねぇ。東城院四季さん?」
クックッと喉を鳴らすような笑い声がした。
そこにはさっきまで居なかった男が立っていて、ニヤリと笑ったそいつに身構える。
刀も銃もないが、素手でも逃げる隙くらいはつくれるだろう。
けれど私の考えが読まれているのか、その男が牢屋の戸を開けて入ってくる様子はない。
「残念ですが、貴方はここから逃げられません。」
「悪いですけど、大人しくしてるつもり、ないですから。」
そう言って男を睨むと、男は妖しげに口角を上げた。
「全く…バカな父親にそっくりだ。」
「なっ…!?」
どうしてこの男は、父上を知っている?
どうしてこの男は、私が父上の子だと知っている?
「忌々しい真紅の瞳を忘れはしない…。」
笑っていた男の顔が、次第に暗いものへと変わっていく。
「私の弟を殺した男、東城院雅章。」
──貴様の大切な宝(真選組)を、私が潰してやろう。
そう言って、また笑った男の瞳は憎悪に染まっていた。
あぁ…、父上。
正義とは、時に残酷で
(それでも私は、)
(貴方が間違っていたとは思わない。)
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