困った顔をしながら私の手を引いたシカクさんに小さく謝って、ジッと私を見たまま黙っているジジイと向き合った。
「…ご迷惑を、おかけしました。」
そう言うのがやっとだった。けれどジジイの顔は無表情でやっぱり何も言ってはくれない。心臓がドクドクと嫌な音を立てる。ジジイとの間にある沈黙が重くて、後ろから刺さるみんなの視線が怖くて、逃げ出してしまいたくなった。
「ごめん、なさ…い。」
ただ遊んでみたかっただけなのに、ただ普通の子みたいに外を自由に出歩きたかっただけなのに。昔から私の外出だけは許してくれないジジイのせいで、私が知っている世界は火影邸の中だけ。初めの頃は私の味方をしてジジイを説得してくれる人もいた。アスマさんやシカクさんも「自分が同行するから」と何度も掛け合ってくれた。だけどやっぱりジジイの首が縦に振られることはなくて、結局私はあの部屋の中でお目付役の人と毎日を過ごしているのだ。あぁ、なんてつまらない人生だろう。
「なんで、」
不意に聞こえた声に振り返ると、肩をぶるぶると震わせて固く拳を握るナルトの姿があった。
「なんで、謝るんだってばよ。」
泣きそうな顔だった。青色の綺麗な目からはすぐにでも涙が溢れ出してきそうで、形の綺麗な唇は血が出てしまうのではないかというほど強く噛み締められていて。
「なんで外で遊んだら謝るんだってばよ。」
出会わなければよかったと、本気でそう思った。もしも私がジジイの言いつけをちゃんと守って部屋の中で大人しくしていたら、火影邸から脱走なんてしていなかったら、ナルトがこんな顔をすることもなかったのに。
「ごめん、」
そんな顔しないで。さっきみたいに笑ってて。私はもう遊べないけど、今日のことは一生の宝物にするから。ほんの少しの時間でも友達になれてよかった。
「バイバイ。」
いやしい私
(まだ、諦めきれなていない)
※久しぶりに書いた