NARUTO | ナノ













「くたばれクソジジイ!!」





勢いよく投げた起爆札を巻いたクナイは真っ直ぐにクソジジイこと三代目火影、猿飛ヒルゼンの顔面へ飛んでいく。ストンと刺さったクナイはものすごい音を立てて爆発した。





「ザマーミロ!成仏しろよ!!」

「人形相手によく本気になれるな……。」





呆れたように溜め息をついたシカクさんは粉々になったジジイ人形(1ヶ月かけて私が作ったのだ)の破片を拾った。木製だからそれなりに丈夫な人形だったけれど、起爆札に勝てるほどの強度はない。





「つーかお前、実は三代目大好きだろ。」





人形が三代目にそっくりだ。クックッと喉を鳴らしながら笑ったシカクさんに余っていたクナイを投げつけた。





「ないから!好きとか有り得ないから!!」

「ちょっ…危ねぇ!!クナイ投げんな!」





別にあんなジジイ好きじゃない。私がこの屋敷からなかなか出られないのもアカデミーに行けないのも友達がいないのも全部アイツのせいなのに、好きになる訳がない。みんなはクソジジイが私の安全を考えてるんだと言うけれど、だとしたらあまりにも過保護じゃないだろうか。第一アイツが私の心配をするとか、それこそ有り得ない。





「うーん、俺んとこのガキでよけりゃ連れてくるけどよ。」

「え、ヤダ。あんたの息子とまで将棋したくない。」

「アイツ、強いぞ?」

「分かった分かった、楽しみにしてます。」





いつも話に聞くだけの顔も見たことない相手と仲良く出来る自信はないけれど、その子が私の初めての友達になるかもしれないと思うだけで自然と口角は上がった。どんな子だろう。将棋や囲碁以外の遊びを知っているだろうか。外では何をしているんだろう。明日はお気に入りの服を着て髪もきちんと整え、部屋を綺麗にしておかなければ。それから女中さんにお茶菓子をたくさん用意するように頼んで、ジジイが部屋に入って邪魔出来ないように術をかけよう。「随分と嬉しそうじゃねーか。」シカクさんの大きな手が私の頭を優しく撫でる。私みたいなガキの相手をするのなんて普通は面倒臭くてみんな断るのに。本当にこの人は変な人だ。





「シカクさん、そろそろ時間だし帰りなよ。」

「あー、今日は予定ねぇからまだ相手してやれるぞ?」

「いいよ、もうすぐ木ノ葉丸がくるし。」

「そうか、じゃあまた明日な。」





今日は寒いから厚着して寝ろよ。なんて親みたいなことを言いながら出て行くシカクさんに適当な返事を返して、聞こえないように小さく「ありがとう」と呟いた。













大きな背中に寂しさを覚えて


(……暇だな、)

(ハツヒ姉ちゃぁぁぁぁぁん!!)

(よーし、とりあえず帰ろうか木ノ葉丸。)







※うん、シカクさん分かんねえ。