NARUTO | ナノ









見つけた赤子は死んでいるかのように静かで子供らしさの欠片もなく、言ってしまえば可愛くないクソ餓鬼で、抱き上げた瞬間のあの驚いたような顔は今でも鮮明に覚えている。





「捨て子か。」





任務に出ていた治安の悪いその地域では、捨て子というのは決して珍しいものではなかった。実際、ここに着いてから何度か同じような光景を目にしている。小さなそれらは自ら立って歩く力もなく、足掻くように泣き声を上げながら腹を空かせ冷たくなって死んでゆくのを待つだけ。親に見捨てられ、生きる道を行くことが出来なかった哀れな命。





「お前は泣かんのか。」





とんだクソ餓鬼だな。無論、返事はない。けれど怖がってなくわけでもなければ喜んで笑うわけでもなく。まるで死んでいるかのように反応を示さない赤子の目は、暗く冷たいままだった。





「…餓鬼、死ぬのか?」





何もかも、この世の全てを諦めたようなその目が気に入らない。生まれて間もない小さな目が、冷たい地面以外に何を映したというのか。その小さな体がどれほどの温もりに触れたというのか。





「お前に生きる道と名をやろう。」





諦めると言うのなら諦められないように邪魔してやる。泣かないと言うのならどんな手を使ってでも泣かせてやる。歪んだそれは憎しみか愛情か。





「ハツヒ。」





いつかお前が大きくなって例えば生かされたことを恨んでいたとして、老いたこの身をクナイで刺し殺そうと向かってきても、お前を拾ったこの瞬間から永遠に愛し続けると誓おう。









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「三代目、」

「分かっとるわい。」





全く、馬鹿娘が。何をつまらないことで苦しんでいるのだ。





「既にアカデミー以上の知識と技術は叩き込んである。」

「それじゃあアイツは、」

「もう、囲ってやらずとも己の力で歩いてゆけるだろう。」





嬉しそうな顔をしたシカクを横目に、女中に出された茶を啜る。拾ってきたあの日と何ら変わらない、弱い子供のままなのだと思っていた。





(じーじ!)





小さな手をいっぱいいっぱいに伸ばし、雛鳥のように後をついてきていた幼子は、いつの間にか成長していたらしい。























変わらぬ笑顔で


(恨まれてもいい)

("幸せ"を知ってほしい)







※シリアス脱出します。