二代目 ※サッカー日誌ヒロイン ※名前変換なし 「い・ず・み・ちゅわァァァァァん!!」 久しぶりの練習試合の日、観客席に現れた目に痛いドピンクのメガホンを持った男がものすごい大きな声で朝倉の名前を叫んだ。そんなことをすれば叫んだ本人は勿論名前を呼ばれた朝倉までもが周りの注目を受けるわけで、突然のことに驚いたのか朝倉はこれでもかというほどに目を見開いていた。 「朝倉、知り合いか?」 問い掛けるも朝倉は全く反応せずに男を見たまま動かない。ぽかんと口を開けて若干嫌そうな顔をしていた。 「と、」 「と?」 「父さん!!」 「父さん!?」 どうやらあのドピンクメガホンを口に当て、見ている俺でも目を瞑りたくなるくらい恥ずかしい横断幕を高々と掲げているあの男の人は朝倉のお父さんらしい(ちなみに幕の片端を持っている女の人はお母さんだとか)。思わぬ応援団に円堂は嬉しそうな顔でご両親に手を振っていたけれど、そんな様子に朝倉は更に眉間に皺を寄せていた。 「ちょっ……なんで来たんだよ!?」 「だってせっかくの泉ちゃんの練習試合だから見たくって。」 「黙れおっさん仕事はどうした。」 「休んじゃった!テヘッ。」 「誰かァァァ!!救急車ァァァァァ!!この人精神科連れてってェェェ!!」 なんというか、キャラの濃い人だ。ボケるご両親に肩でゼイゼイと息をしながらすごい勢いで突っ込んでいく朝倉に木野から預かったスポーツドリンクを渡した。「サンキュー豪炎寺。」「いや、大変だな。」苦笑しながら流し込むようにドリンクを飲む朝倉。額にうっすらと見えた汗に多少悪いと思いながらも自分が首にかけていたタオルを差し出す。 「おぉ…ありが、」 「君ィィィィ!!ウチの泉ちゃんとどういう関係なのォォォォ!?」 朝倉がタオルを受け取ろうとした瞬間、俺の手はスパンッと音を立てて叩き落とされた。 「え、あの…お父さ、」 「貴様にお父さんなんて呼ばれる筋合いないわァァァァァ!!」 朝倉を庇うようにして俺の前に立ったお父さんは、さっきのドピンクメガホンを向けてきた。何故か迫力を感じる(ドピンクなのに、メガホンなのに)。とりあえず弁解しようと試みたのだが俺の話を聞き入れてくれる様子はなく、お父さんの後ろで朝倉が疲れた顔をしているのが見えた。 常識人はどこですか (私は彼氏なんぞ認めん!!) (あら、いいじゃないの。彼なかなかイケメンよ?) (豪炎寺、こいつらファイアトルネードの練習台にしていいぞ。) ((…助けて下さい。)) |