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初代拍手





「隊長!」

「なんでィ。」

「さくらんぼ貰ったんで食べましょー!!」




ニコニコと嬉しそうにやってきた彼女は、皿の上に大量にのったさくらんぼをズイッと差し出してきた。

綺麗な赤に染まったさくらんぼは美味そうだった。遠慮なく、と一つ手にとって口に放り込むと、程良い甘さと酸味が口いっぱいに広がった。




「さくらんぼ美味しいですねー。」

「そうだねィ。」




俺の隣でそれはそれは美味そうにさくらんぼを食べる彼女。そういやコイツはさくらんぼが好きだった気がする。

一口食べるごとに旨いと言われていれば、食べられているさくらんぼもさぞかし嬉しいだろう。




「あ、そうだ!」




急に声を上げたそいつは、なにを思ったのかヘタごとさくらんぼを口に入れて、何やらモゴモゴと動かし始めた。




「…何やってんでィ。」

「はふあんほほへはほふふふへはふ。」

「馬鹿にしてんのか。ちゃんと喋れやコノヤロー。」




コツンと軽く頭を小突けば、エへへと笑いながら彼女は舌を突き出した。

その上にはさっきの実に付いていたであろうヘタが綺麗に結ばれた状態でのっていた。




「さくらんぼのヘタを舌で結べる人って、キスが上手いって言うからやってみました!」

「アホか。」




くだらない。とは言いながらも、彼女の発したキスという言葉に少なからずドキリとした俺がいて、赤くなる顔を必死に隠していた。




「隊長もやりましょ!!」

「嫌でィ。普通に食わせなせィ。」

「あっれー?自信ないんですかー?」

「………。」




こういう時の彼女ほどウザイものはないと思う。

結局断り切れなくてやることになってしまったのだが、これがまた難しい。転がしても転がしても結べる様子はなく、次第に苛立ってくる。

その間も彼女はさくらんぼを食べ続けていた。




「…隊長ー。」

「……。」

「もう良いですよー?普通に食べましょ?」

「……。」




ホラ、と差し出されたゴミ箱にヘタを吐き出すと、彼女はクスクスと笑い出す。




「隊長可愛いですね。」

「うるせー馬鹿。笑ってんじゃねーよ馬鹿。」

「あはは。隊長はきっとキスが下手くそなんですねー!」




おいおいおい。たかがさくらんぼのヘタで決め付けるんじゃねーや。



空になった皿を片付けようと立ち上がった彼女の腕を強く引いて、そのままふっくらとした柔らかな唇に自分のそれを重ねた。


さっきのさくらんぼの味がほんのりとした。オイ、ファーストキスはレモン味だか梅干し味だかって言ったヤローは誰だ。



「た、いちょ…。」




真っ赤に染まった彼女の顔はまるでさくらんぼみたいで、さっきまでの元気はどこへやら。形勢逆転だ。


座り込んでしまった彼女にゆっくりと近付いて、今度は頬に軽く口付けをした。






「俺のキスは下手くそだったかィ?」







チェリーkiss



(…お、お上手ですね。)

(へー。じゃあもう一回しときやすか。)

(ギャァァア!!ごめんなさいごめんなさい!謝るからやめて!!)






※我ながら恥ずかしいもの書いたなと思った。






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