妹ですけど何か?






皆さんこんにちは。ライモンジムのジムリーダーにして人気モデル、カミツレの妹のナマエです。今日もうちの前ではお姉ちゃんのファンの人達がピーピーキャーキャー騒いでいてとても煩いです。全く、これだから有名人の親族ってのは嫌なんだ。ちやほやされるのは本人だけで周りは迷惑しかかけられてない。学校に行くのに家から出る時は必ず裏口から。どうしてこの家の住人の私がそんな面倒臭いことしなくちゃならないんだ。





「あ、カミツレさんだわ!!」

「キャーッ!カミツレさん今日も素敵!」





煩い煩い煩い。ちょっと前までお姉ちゃんのことなんか自分達の街のジムリーダーにくらいしか思ってなかったくせに。何も知らないミーハー共が。嫌いだ嫌い。何も知らずに騒いでいる馬鹿なファン達も、そんな人達にちやほやされて笑ってるお姉ちゃんも。





「おはようチョロネコ。今日は誰のものを盗んできちゃったの?」





足元にすり寄ってきたのは最近仲良くなった近所のチョロネコ(♀)で、彼女の小さな口には赤い帽子がくわえられていた。私が手を出すとちゃんと渡してくれるからとてもいい子なのだけれど、この盗みの癖は消えてはくれないみたいで毎回私が持ち主に返しにいくのだ。面倒臭いことこの上ない。顎を撫でられて気持ちよさそうに鳴き声を上げたチョロネコに苦笑した。





「あー!!俺の帽子!」





おや、珍しい。どうやら今回の持ち主は途中で諦めずにチョロネコを追いかけていたようで、私達を見た途端に大声を出しながら駆け寄ってきた。隣の黄色いものはピカチュウか、これまた珍しい。2人(1人と1匹)の剣幕に驚いたのか、ものすごいスピードで走っていってしまったチョロネコに軽く手を振った。





「はいどーぞ。」

「え、あ…ありがとう。」





ゼイゼイと私の横で荒い息をしている少年の前にずいっと帽子を差し出すと、彼は少しだけ驚いたような顔をしながら受け取った。





「あのチョロネコ、君の?」

「違うよ、あの子野生だもん。ただ仲良しになっただけ。」

「そっか…。」





さてと、そろそろ学校に向かわないと間に合わなくなっちゃう。今度は気を付けてと少年に手を振って背を向けると、後ろから待ってという声がかけられた。





「俺サトシ。君は?」










カミツレの妹の、ナマエです。






(は、……え?妹?)

(うん、妹。)

(……マジか。)












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