小さなエースはちょっとだけ得意げにリフティングをして見せた。
未来から君に
「上手だね。毎日練習してるんだ?」
「……もうすぐ、試合だから。」
どうしても勝ちたいんだと言ってちょこんと隣に座った豪炎寺(非常に小さい)は褒めれば褒めるほど頬を赤く染めていく(非常に可愛らしい)。過去の世界でも小さかった夕香ちゃんは、先ほど習い事のために帰っていった。
「偉いなぁ…。」
流石は未来のエースストライカーだ。ボールはぼろぼろ、腕も足も傷だらけ。一体彼は1日の内どれくらいの時間をあのボールと過ごしているのだろうか。練習熱心なのは褒めるべき点であるが、あまり無茶をするのは頂けない。再びリフティングを始めた豪炎寺少年の足の上で、トントンとリズム良くボールが音を立てる。「無理するなー。」「もう少しがんばる。」人は年齢が違うだけであんなに可愛く見えるもんなのか。
「よーし、暑さも和らいできたしお姉さんは帰るかな。」
「…え、……帰るんですか?」
しゅんと寂しそうに伏せられた目に「一生ここにいる!!」と叫びそうになるのを堪えて、ごめんと誤る。「また会えますか?」「うーん……、」更に泣きそうな顔をされて色々と爆発しそうになったけれど、いつまでもここにいるわけにはいかない。だって私はこの時間の住人ではないのだから。
「試合は、」
「うん、頑張れ。」
「………。」
見に行ってあげることは出来ないけれど、君の勝利を心から祈ってるよ。小さく頷いてくれた小さなエースに別れを告げて、脳裏に浮かんだ懐かしき日々に拳を握り赤い扉に飛び込んだ。
会いたくなったのは私の方で
どうしようもなく、大好きなあいつらの声が聞きたくなった。
※無理やり感MAX