新学期。いち早く新しいクラスを見ようと掲示板に群がる生徒を横目に、俺は隣で不安そうにしている朔乃の頭を撫でた。




「大丈夫だ。学校には事情は話してあるし、お前なら勉強もすぐ追いつける。」

「うん。ありがとう、兄さん。」




朔乃は病弱で、この間までずっと入退院を繰り返していたために1、2年の時はほとんど学校に来れていなかった。頭のいい朔乃は毎年必ずA組なのだが、今年はどうなるか分からない。せめてZ組だけは勘弁してほしい。




「えーと、俺と朔乃のクラスは……………、」




見間違いだろうか。A組からD組、どのクラスを見ても俺達の名前が載っていない。いや、嘘だろ。俺だって朔乃には及ばなくてもそれなりに勉強は出来る。まさか、そんな訳あるか。だって、だって俺は、




「お、咲夜、朔乃。お前ら今日から俺のクラスだぞ。」




後ろを通りかかった銀八先生がそう言った。




「……マジか。」




出席日数足んねーんだとよ。相変わらずレロレロキャンディーを舐めながら去っていく先生の背中を見て、俺は勢いよく掲示板に頭を打ちつけた。



───
──────




参った。どうしよう。

転校初日、初めてくぐった銀魂高校の門にワクワクしながら歩いていたら、道に迷った。とりあえず学校の敷地内なのだからどうにかなるだろうとウロウロしていたところ、





「あれぇ?君ひとり?」





髪型が素敵にリーゼントなお兄さん数人に捕まってしまいました。




「暇ならちょっと遊ばない?」

「君可愛いしさ、大人しくしてくれたら何もしないよ。」




さて、面倒なことになった。一体どうすればいいだろう。

うーんと考えていると、返答をしなかったことに苛立ったのか、リーゼントなお兄さんAがグイッと腕を引っ張ってきた。痛い。




「無視は酷くね?ちょっと付き合ってよぉ。」




ニヤニヤと下品な笑みを浮かべるお兄さんは、さらに私の制服を掴んで引っ張る。その瞬間、上着からビリッと嫌な音が聞こえた。よく見れば私の上着の袖が綺麗な直線で破けていた。




「ホラァ、言うこと聞かないから制服破け、」




ピタッと、お兄さんが固まった。

お母さんが買ってくれた制服。大事な大事な制服。毎日毎日汚れないよう、破れないよう、友達に怖いよと言われながらも大事に着てきた制服。




「お兄さんは、いけないことをしました。」




持っていた自分の竹刀を握り締め、お兄さんに向けた。




「剣道二段、東城院四季です。よろしくお願いしますね。」







気付いたとき、お兄さん達は救急車で運ばれていた。












第一印象は最悪


(A組を取り消して君をZ組にする。)

(え、Z組?)

これが全ての始まりだった。










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