ある土曜日の昼休みの時間だった。
土曜日と言っても俺達真選組に休日というものは存在しないため(非番はあるけど大抵沖田隊長に潰される)、今日も俺、山崎退は一生懸命働きます。
「退くん!」
手を振りながらこちらに走り寄って来たのはなまえちゃん。真選組隊士の中で唯一の女の子であり、最年少ながらも一番隊の副隊長を勤めているとても優秀な俺の幼なじみ(どっかの隊長とは大違いだ)。
「どうしたの?」
「あのね、お昼ご飯一緒にマックに行かない?」
「うん、構わないよ。」
「ありがとう退くん!」
あぁ、なんていい子なんだろう。俺今までなまえちゃんの幼なじみやってきて嫌だと思った日なんて一度もないよ。アホな上司達に汚染されずに本当にいい子になってくれた(親ではないけれど)。
「いやあ久しぶりに行くなーマック。」
「私も!屯所に食堂あるからなかなか行く機会がないんだよね。」
「そうだねィ。」
「そうそう………って沖田隊長ォォォォ!?」
「おうジミー。テメー何勝手になまえ連れ出してんでィ。」
いつの間にか隣に立っていた沖田隊長は、ニコリともせずに刀を抜いた。
いやいやいやいや!死ぬから!俺死んじゃうから!なんでなまえちゃんニコニコしながら見てるの!?別にコレ仲良くじゃれ合ってる訳じゃないからね!?違うからね!?
「2人は相変わらず仲良しですね。宜しければ隊長も一緒にマック行きません?」
「そうだねィ…ちょうど腹減ってたし、財布(山崎)もあることだし。」
「俺の財布、軽量化の危機。」
結局一緒に行くことになった沖田隊長に溜め息を吐きながら、俺達はマックに向かった。
それぞれ購入して(もちろん俺の財布は軽くなったさ)、席に着こうと店内を歩いていると、見慣れた短い黒髪が目に入った。
「なんだテメーらもここだったのか。」
「なまえをストーカーして来た土方さんと一緒にしねーで下せェ。」
「お前殺すよマジでェェェ!!」
そんなこんなで結局土方さんも一緒に食べることになって、若干嫌になってきた俺だったけど(なまえちゃんはとても嬉しそうだ)とりあえず食べ始めることにした。
「おいしいね退くん!」
「おいしいね。」
幸せそうにハンバーガーを頬張るなまえちゃんについつい口角が上がる。やっぱり来てよかった。
「にしてもやっぱりマックと言えばハンバーガーだよね。」
「……………………え?」
今の俺の発言に何か問題があったのか、なまえちゃんがピタリと俺を凝視したまま固まった。 一体何がいけなかったのだろうか。
「マックと言えばハンバーガー?…ダメよダメだよ退くん!!」
「何が!?」
「確かにハンバーガーは主役の座についてるわ。それでも彼らの周りにある引き立て役の存在、なければマックに来た感がなくなってしまう最高にして最強の裏の主役。そう、それこそフライドポテトなのよ!!」
急に立ち上がってポテトについて演説を始めたなまえちゃんを、俺と他2人はポカーンと見ているしかなかった。
「ポテトこそ食べ物界の王に相応しい!輝く黄金色!細長く美しいボディー!あぁポテト、貴方はなんて素敵なの!!」
可愛くて優しくて優秀な俺の幼なじみは、いつの間にかアホな上司の仲間入りを果たしていたようです。
可愛いあの子はポテト好き
(後日、ポテトの売り上げがのびたとマックから彼女に感謝状が送られたとか)
※チーズバーガーを食べながらひたすら妄想してたネタ
可愛いあの子はポテト好き
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