「ねー南沢せんぱーい。」
あぁ、またか。
みょうじなまえ。一つ下の後輩で、サッカー部のマネージャー。友達に誘われたとかで入部してきたくせに、バカみたいに一生懸命マネージャーをしているバカだ。さっさと辞めちまえば良かったのに。
「ねーねー南沢先輩。なんで円堂監督の練習来ないの?三国さん怒ってたよ。」
「なんでお前はタメ語なの?俺怒るよ。」
三国にも車田にも他の三年には敬語を使ってニコニコヘラヘラしているくせに、俺の前じゃ面倒臭そうな顔しやがる。
今だってそうだ。自分から話しかけてきたのに俺の話なんか一つも聞いていない。
「行かないのか、部活。」
「んー、」
「……俺は、帰るぜ。」
嫌なんだ。学校も部活もサッカーもお前も。俺は松風や監督みたいに、他の奴らみたいに本気でぶつかるなんて出来ないから。フィフスセクターに立ち向かうなんて、出来ないから。
俺達以外誰もいない三年の教室で堂々と昼寝を始めたみょうじをそのままに、俺は入り口に向かって歩きだした。
「先輩は、嘘つきだね。」
不意にみょうじが呟いた言葉に振り向くと、眉を八の字にまげて笑うそいつがいた。
「サッカー、ちゃんとやりたいのに、本当はみんなと戦いたいのに、」
そうやって嘘つくんだ。笑っているのに辛そうなみょうじはそう言ってまた面倒臭そうな顔に戻った。
「明日はまた河川敷に行くんだって。」
立ち上がったみょうじは自分のスクールバッグを持って教室を出た。
「あ、そうだ先輩。」
「……なんだよ。」
「私、嘘つきは嫌いだからね。」
バイバイと手を振りながら、みょうじは廊下を走って行った。
心に背いた罰だろうか
(『嫌』なんて嘘)
(本当はもっとちゃんと向き合いたいんだ)
(サッカーとも、君とも)
※ナニコレ意味不
※ただ南沢先輩と話したかった(笑)
嘘つきなキミ
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