嫌い。泣き虫な神童も、何かを諦めたような顔をする霧野や先輩達も、誰よりもキラキラしてて私達がやりたくても出来なかったサッカーをする天馬も。嫌い嫌い嫌い。大嫌い。





「ねー、みょうじ。」

「何よ浜野、近付かないでよあっち行って。」





冷たいなあ、なんてニコニコ笑ってるこいつも嫌い。「おーい、みょうじ見つけたよー。」ちょっと何呼んでんのよ。ふざけないで「あ、みょうじ先輩!!」最悪。なんでよりによって天馬が一番最初に来るのよ。あぁ、神童まで来ちゃったじゃないの。最悪最悪最悪最悪。





「みょうじ、サッカー部に帰ってきてくれないか?」





神童がそっと頭に手を乗せてきた。ああ嫌だ触らないで。





「知らないわよ、あんた達のサッカーに興味ないの。嫌いなの。」

「みょうじ……。」





今更なんなのよ。怖い無理だ逆らえないって言って最初に諦めたのはそっちじゃない。私が頑張ろうよ本気でサッカーやってみようよって何回誘っても見向きもしなかったくせに、天馬や円堂監督が言ったら急に熱くなりだしちゃって馬鹿みたい。だから嫌いだって言ってんのが分からないの?頭悪いんでしょ。悲しい顔したってダメだよ。だって今更戻ったところで私の居場所なんかないじゃない。泣きそうな神童を支えるのもシュート止められなかった三国先輩励ますのも落ち込んだみんなを元気にするのも天馬。私がやってたことは全部全部持っていっちゃうの。なんでよ馬鹿。





「みょうじ、俺達にはお前が必要なんだ。頼む。」





無理にそんなこと言わなくったっていいですよ三国先輩。私が必要とされた試しがないじゃないですが。いつだってみんなは私にくだらない幻想見てないでさっさとマネージャーの仕事しろって、ずっとそればっかり。何よずるいのよ天馬は。みんなに信頼されて、みんなを元気にしてあげられるなんてそんなのずるい。私はそんなすごいことひとつも出来なかったのに。





「みょうじ。サッカー部に必要ない奴なんて1人もいないぞ。」





だったら教えて円堂監督。私は、天馬に役割を全部持っていかれた私は、ドリンク運び以外の何に役立つの?


私の役割ってなんですか。













好きと嫌いは紙一重


みんなもサッカーも、好きすぎて嫌いになっちゃうの。

みんなを支えるあの太陽が憎くてしょうがない。






※みんなが好きすぎて天馬くんに嫉妬したって話。

※率直に言うとヒロインは彼が羨ましいんです。自分よりみんなといる時間は短い筈なのにみんなと仲良くしてるのが悔しいんです。








好きと嫌いは紙一重