「あのね修也、私結婚するの。」
頬を赤く染めてそう言った姉さんに、俺は目を丸くした。
「鬼道くんって、修也昔チームメイトだったでしょう?」
周りの音が遠ざかっていく。聞きたくない。姉さん、俺そんな話聞きたくないんだ。ずっと、好きだったんだ。姉さんはなかなか子供が出来なくて落ち込んでいた母さんのために父さんが養子にした、俺や夕香とは血の繋がりのない兄弟。
「それでね、その時有人くんったら──。」
どうして、相手が自分の仲間なのだろう。全く知らない相手だったなら、どんな手を使ってでも姉さんから引き離したのに。どうして、俺達は姉弟なんだろう。もしも違う形で出会えていたら、姉さんの隣に立っていたのは俺だったかもしれないのに。"姉さん"じゃなくて"なまえ"と呼ぶことが出来たのに。
「修也?」
「え、あ……。」
「あんまり…喜んでくれてないの、かな?」
困ったように笑って、悲しそうに俯いた姉さんに少し焦る。今俺がここで自分の想いを伝えたら、この人は俺を見てくれるだろうか。さっきアイツの話をしていた時のように笑ってくれるだろうか。
「姉さん…俺、」
貴方が好きです。誰よりも。でもきっと、そんなことを言ったら姉さんは泣いてしまうから。見なくても分かる。誰よりも傍で姉さんを見てきたんだ、俺が一番姉さんのことを理解してる。だから、
「姉さんの幸せを願ってるよ。」
君の笑顔のためならば、僕は心だって殺せる。
(消えて無くなってしまえばいいのに)
※いつだかの黒歴史を頑張って修正したやつ。
※そして撃沈。