初めて会ったじいちゃんは、写真とは全然違っていた。けど、楽しそうに試合を見ているところとか、終わった後でもボールを一生懸命磨いたり、フォーメーションや個人のデータが詰まっているだろうノートをジッと見ているあたり、あの人は本当にサッカーが好きで、本当に俺のじいちゃんなんだと思った。
「じいちゃん、」
「…守か。どうしたんだ?」
「あのな、じいちゃん……俺、」
じいちゃんのおかげでサッカーに出会えた。強くなれた。いろんな大会に出て、世界中のサッカーが大好きな強い奴らと試合が出来た。
そして何より、大切な仲間と出会うことが出来た。
雷門中サッカー部のみんなも、キャラバンで旅したみんなも、この世界大会で共に頂点に立ったみんなも。サッカーをしていなければ会えなかった。全部、全部じいちゃんのおかげなんだ。
「じいちゃんが、いたから……。」
「…そうか。だが、お前をもっと近くで支えてくれた人がいるだろう?」
「え、」
「お前の母さん、父さん。そして、」
ふと、じいちゃんが俺の後を見た。
なんだろうと同じ方向に視線をやれば、そこには人が立っていた。
あの女の人は誰だろう。じいちゃんの知り合いか、それとも俺の知り合いだっただろうか。
「守。」
そう言ったその人に、俺は目を見開いた。
誰だろうって?知り合いだったか、だって?何を馬鹿なことを言っているんだ俺は。
あの人は、俺を見て優しく微笑むあの人は、
「なまえ、姉ちゃ…ん?」
そうだ。紛れもない、俺の姉ちゃんだ。
5年前に急に家を出てしまった大好きな大好きななまえ姉ちゃん。小学校の時、上級生にいじめられていた俺を助けてくれた。母ちゃんが反対してサッカーを止めさせられそうになった時、一生懸命説得してくれた。いつだって俺の味方でいてくれた、優しいなまえ姉ちゃん。
「強くなったね、守。」
物語はハッピーエンドで
(神様からの、最高のプレゼント)
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