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その日、アニーミの様子がいつもと違っていた。

「おい」
「・・・」
「おい、アニーミ!」
「ふあ?」
「あらあら、イリアが食事中に寝るなんて珍しいわね。今日のメニューはイリアが大好きなお肉なのに」
「う・・・た、食べるわよ!行儀悪く寝ちゃったのは、その、謝るわ。ごめんなさい」
「あー!イリア姉ちゃんが素直に謝った!」
「ヒャハハハハ!こりゃぁ明日嵐がくるぜェ」
「うるっさいわねもう!ごちそうさま!」
「あ、ねえちょっとイリア、君まだ一口しか食べてな・・・行っちゃった。」
「もう、エルにスパーダ君ったら、からかいすぎよ?」
「そう言われたかて、あんなイリア姉ちゃん珍しいねんもん!」
「そうだぜェ。そりゃからかいたくもなるってもんだ。」
「まあ、珍しいっていうのは否定しないけど・・・一体どうしちゃったのかしら?」
「・・・」

その日の夜中、ふと目が覚め外の空気を吸いにでも行こうかと宿屋の入り口を目指していると。
「?厨房に、明かり?」
思わずその光に、吸い寄せられるように厨房へ足を踏み入れた矢先。
「わーっ!」
「!?な、何なんだ一体・・・ん?アニーミではないか。」
「ああああああんたなんでここにいるのよ!?」
「いや、目が覚めて外の空気を吸いに行こうとしたら厨房に明かりがついていたのでな。お前こそ何を?」
「・・・あんたのための、料理の特訓」
「は?」
「っ、だから!あんたのために!美味しい料理を!作ってやろうと特訓してたの!あたし一応料理できるけど大味だから。はー・・・あんたに見られたくなかったのに・・・」

だから食事時にあんなに眠そうにしていたのか。

「では俺も作るとするか」
「はぁ!?あんたが作ったら意味な「努力してくれたお姫様への、スペシャル料理をな。」」
「!あ、あんたよくそんな恥ずかしいことさらっと言えるわね」

それから暫く、深夜の厨房には仲良く料理を作る包丁の音が響いていたとかなんとか。

*fin




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