一緒にご飯を食べよう


朝目が覚めると隣にマルコがいなかった。どこにいったのかとリビングに行くと、ベランダが開いていた。

あぁ、なんだベランダか…と思い、朝のひんやりした風が吹くベランダに出た。

「あれ??マルコいない」
そこまで広くないベランダなので出たらわかるのに、そこにマルコの姿は無かった。

「おーい、***!こっちだよい!」

下から声が聞こえて、その方向を見るとなんとマルコが外にいた。

「え、マルコ何してるの?!っていうかここ2階なんだけど、飛び降りたんですか?!」

「#nameが休んでるうちに敵がいないか見張ってたんだよい。散歩含めてなー」

偵察とはいうものの、マルコの顔はとても晴れやかでとても楽しそうだった。

「ここは安全ですよー!あ、今こっちからドアの鍵開けるのでちょっと待ってください!」

「あー、その必要はないよい」

トンっとその場所からマルコがジャンプする。その時、不死鳥の羽だけを出していた。見惚れるほど、綺麗な動きであっという間にベランダの手すりまで届いた。

「わっ…さすがマルコ!」

「これくらいは日常動作だよい。」

「でも次からは心配するので声をかけること!いいですね!?」

「それは…すまんよい」

「ううん、大丈夫です!私のための偵察ですもんね!じゃあ朝ごはんにしましょうか。」

「俺も手伝うよい」


食事の準備をしながらマルコと二人きりで行動するのは初めてかもしれない事に気づく。部屋で二人きりになったことはあるけれど、船に乗っている以上は寝る時以外は大体マルコやサッチさん、あとはクルーのみんなといる事が多い。マルコと、二人きりの生活が始まるのか。…いつまでかは、わからないけど。

「さあ、純日本風のご飯ですけどどうぞ」

トリップする前に冷蔵庫に入っていたありあわせの食材で朝ごはんを準備する。ごはんに、冷奴、冷凍していたお魚を焼いたものと、味噌汁!うん、完璧な日本の朝ごはん!

「おー、うまそうだよい!***は料理の手際がいいよい」

「一人暮らし長いですからねー、このくらいはなんとか」

「…親はいないのかよい?」

「あ、親は別の所にちゃんといますよ!会社…働くところが近いから一人で住んでます」

「ほー、そうなんだねい。そういえば***は仕事とやらにいかなくていいのかよい?」

二人で朝ごはんを食べながら、今日の予定について確認した。

「えーと、休みが溜まっちゃって一週間は仕事行かなくていいんです。だから、あと6日は大丈夫ですよ。今日は必要なものを買いに行ってきますね。」

「買い物にいくのかよい?俺もついていくよい!」

「いいですよ、一緒に行きましょうか!でもマルコ、ちょっとこっちの世界はマルコの服装は目立ちすぎるので先に着替えましょうね」


私朝ごはんを片付け、タンスの奥底に眠っていた服を取り出した。男性ものの洋服。これは実家を出る時に、母が『女性一人だと思われないように』と持たせてくれた物だ。最初は警戒してパーカーを干したり下着を干したりしていたが場所を取るためすぐ辞めた。でもお母さんの気持ちが入っている物だし、と捨てずにいた。

「はい、マルコこれどうぞ」

「…前、付き合っていた奴のかい」

「言うと思ったけど!違うから!…かくかくしかじかで」

「あぁ、なんだそういう事かよい。じゃあありがたく着るよい」

お母さん、この服邪魔!とか思ってごめんなさい。ちゃんとした使い方をしています。

「一旦買い物とか落ち着いたら、あちらの世界に戻る方法を探しましょうね」

「そうだねい、まぁ来れたから戻れる気がするよい。俺はあんまり心配してないから大丈夫だ。それより***が住んでる世界が楽しそうで、俺も楽しみだよい」

「よかった!一緒にこっちで楽しいことしましょうね!」
こうして、マルコはこちらの世界でしばらく暮らすことになりました。


(あ、洗濯回してから行こうかな)
(この洗剤、あんなの部屋の香りがするよい)
(マルコも同じ匂いになりますよー)




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