目を覚ました今、私は思考がフリーズしていた。
最近は肌寒いから、起きる時は大抵肌寒くて起きる事が多い。しかし今日はノックの音で起こされた。
誰かな、もうちょっと寝たいな、なんて考えながら目を開けるといつもと違う光景。…目の前に寝ている人がいた。
(??!)
朝は大抵頭が回らない私だが、その時は一瞬でどうしてこうなったか、思考が駆け巡った。
(えっと!昨日はマルコにきちんとお返事をして!!そこからマルコの部屋にいって…)
いや、そんなことよりもノックの音が段々と大きくなっていく。このままではまずい。
できうる限り小声でマルコを呼ぶ。
「マルコ!起きて!だれか来てるよ!」
「んん…もうちょい寝かせろよい」
そういって私を抱く腕に力を込める。
「ダメだから!ほら!」
ペチペチと優しく頬を叩く。
「んー…。しょうがねぇよい。誰だよい!朝から!」
「サッチだ!!マルコが珍しく寝坊してっからお越しにきたぞー!」
「寝坊…?」
二人で時計を見る。いつも起きる時間を2時間は超えていた。
「まぁ今日はなにもねーし仕事はいいけどよ。朝飯片付かないから早く来いよー」
そう言って、サッチさんの足音が遠ざかる。
「こんなに寝たのはいつぶりだよい」
マルコが笑いながら私の頬に手を当てる。
「私も、たくさん寝てしまいました…いつも寒いから起きるんですけど」
「二人で寝ると暖かくていいよい。毎日ここで寝てくれよい」
「…それは私の心臓が持ちませんっ」
そういって再び二人で笑い合った。
私は一旦部屋に戻ることにした。もちろん、食堂には一緒に行く約束をした。
マルコの部屋から注意深く出て、周りに誰も居ないことを確認して、廊下に出る。
マルコには「そんな警戒しなくてもいい」と言われたけど、嫁入り前の女の子が男性の部屋から朝出るなんて…。やっぱりね。
身支度を整え、食堂に向かう。なんだか、今日はいつもの景色が違うように見えるのは気のせいだろうか。昨日マルコと想いを伝えあって、いつものようにお話しして。そんな何気ない日常がまた始まる。私は期待に胸を膨らませ、食堂の扉を開いた。
(***〜、コーヒーと紅茶どっちがいいかよい)
(今日は紅茶で!)