初上陸ならず


この前のマルコさんの前で泣くという失態を犯してから、数日がたった。相変わらずマルコさんは優しく接してくれる。しかし、最近はその優しすぎる気がする。この前なんか廊下でクルーの一人に書類の件で質問されていた時、ちょうどマルコさんが通りかかって「その書類は本当に***がしなきゃいけないのか」「なんで自分のところの隊長に聞かないんだ」とかなんとか大分冷たかった。その人は自分でやってる書類の質問ですよ、とは言ったけど「***がやる必要ないよい」とマルコさんに手を引かれその場から離されたり。

「マルコさん、あの人の隊長誰か知ってます??エースですよ?隊員がやるしかないのに、かわいそうですよ。」

「そんなの知らないよい。大体、***もこれ以上何か頼まれたりしたら一日中仕事しなきゃいけなくなるだろい!」とそっぽを向く。
「・・・それに、最近俺の部屋に来ても仕事しかしてねぇだろうよい」

たしかにマルコさんの部屋に行っても、マルコさんが読書をしている隣で書類を作り、そのまま寝落ちし、起こされて部屋に戻るという日々の繰り返しであった。

「すみません。心配かけちゃってましたね」

「そうだよい。このままじゃ、体壊すよい。頼むから無理はすんな」

あぁ、この人は本当は少しだけ不器用なんだ。

「そうやってさっきの人にも説明してあげれば、納得するのに」
とクスクス笑う。
「俺は***がわかってくれてれば、それでいいよい」
「ふふ、ごめんなさい!」
「ほんとにわかってるのかよーい!」
笑いながらそう言われて、頬がマルコさんの両手に包まれる。

「わかってますよー!もう今日は仕事しませんから。でも、マルコからさっきの人に資料貸してあげてくださいね?」
「まぁそれならいいよい」
「お願いしますっ!」
お互いにふふっと笑いあう。

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その光景を柱の陰から見る二人がいた。

「やっぱりあいつら、出来てるんかなー」
「そんな雰囲気でもなくねーか?どうみても小さいガキをあやす親にしかみえねぇが」
「イゾウは見る目がないなー!マルコのあの顔見たことあんのかよ?」
「・・・まぁ、ないな。」
「あと***ちゃんをガキとかないだろ・・・雰囲気が違うだろ、まとっている雰囲気がさ」
「おれはサッチの目の方がこえーよ」
「イゾウ、早く島に着いたこと伝えて来いよ」
「いやだ。今あいつに話しかけたら絶対に怒るに決まっている」
「・・まぁそうだな」
結果、二人に到着が伝えられたのはほとんどのクルーが下りた後だった。
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