創設期 短編 | ナノ




「おはよう、朝だよ、**」
「ん、…はよ、イズナ、」


時刻は朝の7時。ベッドの上で頬を撫でながら私を起こすのは愛しい愛しい私の旦那様。

ぐしぐしと目を擦ってあくびをひとつ。大きくなったお腹をさすりながら、反対の腕でぐ、と伸びをすれば、眠気の倦怠感は少しは解消するというもの。


「イズナ、今日任務は?」
「休みだよ」
「…今日も?」


昨日も、一昨日もお休み。実に3連休目だ。うちは一族でもマダラに次いでNo.2のイズナが、こうも休みが続くは不思議で仕方ない。

まさか、任務できない理由でもあるのかもしれない、と不安になるのは必然だった。


「どこか、…ケガしたの、?」
「え?大丈夫だよ?」
「そ、か…」


じゃあなんで…?と頭の中で原因追求してもこれといった答えは出ず。ぐるぐると思考回路が巡り巡る。


「いつまでお休みなの?」
「**が赤ちゃん産むまでかな」
「…ん?」


あれ?聞き間違いかな?なんか意味のわからない言葉が羅列された気がする。あれ?あれれ?不思議だな。もう一回聞いてみようか。


「えっと…もう1回言ってくれるかな?」
「**が、赤ちゃん産んで、落ち着くまで、かな」


延びた。確実にさっきよりも期間が延びてる。
頭の中で思い浮かんだ考えが冷や汗を垂らした。


「ちなみに、理由は…?」
「**、あと1ヶ月半で予定日でしょ?1人だと大変だろうから、お休みもらってきたよ」
「……1ヶ月半も!?」
「2ヶ月かな」
「2ヶ月!?!?」


愛しの旦那様は、仕事もできて、信頼も厚く、うちはでNo.2の存在だ。そんな彼に当てられる任務は高難易度で、量も多い。なのに、2ヶ月もの大連休をとってくるなんて、普通に考えて有り得ない。


「その間の任務は、…?」
「兄さんと扉間に任せたよ」
「ですよね、!」


あんな高度で量が多い任務を、彼の兄であるマダラさんと、友達である扉間くんが請け負っていると思うと頭が上がらない。

イズナは本当に優しく、仕事もできて頼りにもなり、私にはもったいなさすぎる旦那様。でもごく稀に、その素敵な笑顔のまま恐ろしいことをやってのける。今回も、その人当たりのいい素敵な笑顔のまま、この大連休を柱間さんから分捕ったのかと思うと、柱間さんにも頭が上がらない。


「お、お詫びに行こ、!」
「なんで?」
「2ヶ月だなんて、そんな、迷惑とかかけただろうし、」
「大丈夫だよ、そのために頑張ってきたんだからさ」


確かに、3日前以前のイズナは、それはそれは多忙だった。いつ家に帰ってきているかもわからないほど任務の連続で、その上私の病院にもついてきてくれたりと、倒れてしまうのではないかと思うほどだった。
まさか、このためだったとは。


「そんな、私のためなんかに、」
「今まで、1人で家事とか大変だったよね。ごめん、辛い時期にそばにいれなくて」
「イズナも、大変だったでしょ、?」
「俺は大丈夫。でもつわりとか、健診とか、たくさんしんどかったよね」


俺男だから、そういうのわからないから。
そう言ってゆっくりと伸ばされた腕が私の頭を撫でる。それがあまりにやさしくて、目を瞑ってその感覚を堪能してしまうほど。

これからは一緒に頑張ろうね。
そう言うイズナに、不意に泣きそうになった。こんな素敵な人がいてもいいのだろうか。あまりにやさしすぎるから、ゆっくりイズナに抱きついた。


「イズナ、」
「はは、随分重たくなったね、**」
「ありがとう、頑張るね、わたし」
「ん、産むって決めてくれて、ありがとう、**」
「イズナとの子だもん。迷うわけないよ」
「それでも、ありがとう、**」


どちらからともなく唇を引っ付けた。音もなく離れては、イズナがお腹にもキスを落とした。


「**に似た子になってね」
「私はイズナに似てほしいなぁ」
「えー、**似の女の子がいい」
「イズナ似もかわいいよ、きっと」




ディア・スイート・ダーリン
「今扉間が三徹目だってさ」
「うん、やっぱりあとで火影邸にお詫びに行こう。」


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親愛なる旦那様は、甘やかしたがり。