姫シリーズ | ナノ






しかしカグヤは気づかなかった。**に起こっていた変化に。


「『握裂の術』」


わずかに呟かれた声。次の瞬間、カグヤは自身の片腕が激しい痛みと共になくなっていることに気づいた。

それと同時に落下していく**。何故なのか。彼女には攻撃1つできるほどのチャクラは残っていなかったはずなのに。

握りつぶされ、そしてそのまま千切られた腕からは血液が流れ出す。**がニヤリと笑っているのが視界に入った。


「無事か、**」
「…っ、おっそいよ…マダラ…」


落ちていく**を空中で受け止めたマダラ。**はグッとカグヤの腕を腹から引き抜いた。流れる血液は少なくはなっていたが、止まってはいなかった。


「ぅ、…」
「しっかりするぞ、**」
「あ、りがとね、…柱間、」
「気にするな」
「…あの木遁分身のチャクラを取り込んだのか」
「木遁分身の全チャクラをそのまま握裂の術に費やしたのか」
「へ、へ…」
「全く、腕を握りつぶすだけでなく千切ってしまうとは、流石だな」


そう言って**に手をかざす柱間とマダラ。チャクラが**に流れ込むのを**自身が調整し、自身の傷の治癒に用いた。

次第に塞がっていく傷。**の顔色にも生気が戻ってきた。


「ふぅ…ありがとね、二人とも」
「俺たちも、扉間たちを守ってくれたみたいだな、感謝するぞ」
「ほんと、死ぬところだったよ」
「よく、生きててくれた」


3人で視線を交わした。これでやっと揃ったと、ようやく安堵する。


「これでやっと揃ったな」
「ほんと、二人がいきなりぶっ倒れるから焦ったよ」
「すまない、六道仙人と名乗るものが話をしてきてな」
「俺と柱間があいつに地爆天星という術をしたら封印できるらしい」
「えー、私仲間はずれ〜」
「お前には土産だ」


ぽいっと渡されたのは1つの巻物。なにこれ、と言って巻物を開けたらそこには口寄せの契約書が。


「なにこれ?」
「尾獣との契約書だ」
「尾獣?」
「よくわからんやつだ」
「ふーん…強いの?」
「そうらしいぞ」


おもしろそう、と笑った**はなんの疑いもなく親指を噛み切り、じわじわと出る血液を巻物に押し付ける。


「よしっ」
「ん?マダラの目がなんか変ぞ」
「俺も知らん」
「そういう柱間だってなんか白いよ?」
「イメチェンぞ!」
「変なの」
「……」


まぁいっか!と笑う**。まさか、柱間が六道モードに、マダラが輪廻写輪眼を、**が十尾との契約をしているだなんて夢にも思わない。
強大な力を得た三人に、カグヤの表情が曇る。


「…ハゴロモめ、」
「おしっ、それなら仕切り直して、」
「いけるか、二人とも」
「もちろんぞ」
「…よし、」


仙人モードになる**。それを合図に印を結ぶ柱間。


「『仙法木遁・真数千手』」
「『須佐能乎』」
「『口寄せの術』!」


それぞれが発動させた技。しかし三人の視線は**が口寄せした十尾に向けられる。


「…かわいくなっ!!」
「うわぁ…」
「なんだそいつは」
「ちょ、マダラ!もっと可愛いのちょうだいよ!」
「知るか。ハゴロモに聞け」


あぁ、もう!と頭を掻く**。しかし次の瞬間にしゃーないなぁ!と笑った。


「見た目なんてどうでもいい!行くよ【愛十】ちゃん!」
「あいじゅ?」
「この子の名前!」
「見た目とのギャップがすごいぞ」
「うるさい!さぁ!一発決めたれ!愛十ちゃん!」


**の言葉に呼応するように尾獣玉を作り出す十尾。そしてそれを真っ直ぐカグヤに向かって放った。

空へと飛んで避けるカグヤ。尾獣玉はそのまま山にぶつかり、大破させた。


「!すっごいね!愛十ちゃん!」
「…**を口寄せしたらこんな感じになるのか」
「わしも負けてられん!」


十尾にいい子いい子と頭を撫でたらなにやら尻尾(と言うか手)をフリフリした。そんな可愛い仕草にときめく**。

柱間が真数千手の手をカグヤを捕らえようと伸ばした。マダラがインドラの矢を出現させる。**は機嫌よくもういっぱーつ!と叫んだ。

三人の攻撃を対処しきれず顔を歪めるカグヤ。そんなカグヤに三人が飛びかかる。


「なにが息子だ、」
「!!」
「柱間もマダラも、…私の親友だ!!手を出すな!!」


カグヤの頭をぶん殴る**。殴り飛ばした先には、マダラと柱間が。


「行け!マダラ!柱間!」
「ナイスぞ**」
「流石だな」


二人の手のひらがカグヤに届く。『地爆天星』と二人が叫んだ瞬間、地面の岩や木が宙に浮き始める。


「**!」
「こっちに来い!」
「うん!」


宙に浮く岩岩を蹴り、柱間達の元に駆け出す**。飛びついてきた**を受け止める二人。


「勝ったね!マダラ!柱間!」
「あぁ」
「おう」
「やっぱり私たち、3人だったらなんでもできるね!」





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「って言う夢を見たの」
「遅刻した理由を言うのに何分かかったと思ってんだ」
「ごめんなさいあまりに楽しい夢だったから」
「まぁ良いでないか。それより早く行くぞ。もう混んでしまっているかもしれん」
「うん!季節限定くりとサツマイモを練り込んだ白玉にさっぱり甘いたれがかかったみたらし団子、やっとたべれる!」
「名前長いな」
「よぉし、行くぞ!」





姫の草履は海の底
(…あれ?この巻物なんだろ)
(どうした**)
(…夢じゃなかったかも)


『日向**。この者、十尾と契約せしなり。』


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Altairs is a worrywart.