熱愛セプテンバー

「ねぇ、ちょっと」
「ん?」
「暑いんだけど」
「そうか」
「いや、そうかじゃなくて」




夏もまだまだ終わってないぜ!とでも言いたげなサンサンと照りあげる太陽が恨めしい9月。クーラーのリモコンが手放せない毎日を過ごしている今日も、いつも通りクーラーをガンガンに入れてソファーの上でファッション誌に目を通す。

本の中のスタイル抜群の美女達も暑さには負けるのだろう、惜しみなく肌を出して暑さを露出という手段で発散している。
かく言う私も負けじとタンクトップにショートパンツとモデルに負けないほど肌を出している。負けないのは露出度だけ。顔とスタイルはとりあえず今は置いておこう。おい、わたしの生足なんぞ見たくもねぇっつったやつ出てこい。


今日は仕事バカでバカすぎるハジメも久々のお休み。でもまぁいつも通り家でも仕事をするんだろうな、と思っていたら今日は違った。

雑誌を適当に読み飛ばしていたらギシリとソファーが沈み、私の体が沈んだ方向に傾く。倒れそうでもなかったので気にも止めずに続きを読む。あー、ピコちゃんかわいいなぁ…。なんてスラッとした脚を見てげへげへ汚く笑っているとき、そいつは抱きついてきた。グリグリと私の肩に額をこすり合わせる姿は子供に見えた。


あれま、これはこれは珍しい。イチャつくのが苦手で、普段はクールを装っているハジメが私に甘えている。嬉しく思う反面、久々の逞しい筋肉と触れ合って柄にも無くキュンとした。

それが照れくさくてむずがゆくて、素直じゃない私は「暑いから離れて」と繰り返した。


それでも離れないから熱は貯まる一方だ。あぁ、熱いなぁ。そう思ってクーラーの温度を2度下げた。地球温暖化を防止するとかなんとか言ってる環境庁のみなさん、ごめんなさい。




「…△▽」
「ん?どーしたの?」




呼ばれた名前に返事をしてハジメに、顔を向けた。その瞬間、後頭部を掴まれ私の唇に熱すぎるくらいのそれを当ててきた。




「っ、ん…ふっ……」





強引に角度を変えられ何度も繰り返す。その行為に息が絶え絶えになったが、イケナイ気分になってるのも確かだった。


ボトリ、と雑誌が手から離れて床に落ちる。

僅かに呼吸をするため口を開いた瞬間、待ってましたとばかりに舌を入れられた。



「はっ、…んぅ……」
「ん、△▽……」



お互い舌を絡め合い、淫らな水音が部屋に響く。あたかも当然かのように私の体はソファーに沈まされた。視界にはハジメと天井しか映らない。ちゅっとリップ音を鳴らして離れたお互いの口元はだらしなく唾液で汚れていた。ヤル気満々のハジメに少し興奮している私。時刻は午後2時。




「ん、…まだひるよ、?」
「お前も待てねぇだろ?」





正解なのが悔しい。少しムスッとしながらもその言葉を肯定を示すためにハジメの首に腕を回す。いたずら成功、みたいにニヤリと笑うハジメにときめくのは私ぐらいかな。
それも全部悔しかったから、今度は私からハジメに熱の籠ったキスをする。キスの瞬間に目を閉じるハジメが愛おしい。





熱愛セプテンバー
(あぁ、熱いなぁ。)