過ぎ去った日は過去と言う観念からの昔話
むかしむかしあるところに…一人の可愛らしい女の子がいました。それはそれは天使と見紛うかのような可愛らしさ。いいや、妖精と肩を並べても遜色のない可愛らしさ。むしろ勝ってる!
女の子は母親の手伝いを率先して引き受けるような働き者で、とてもいい子でした。
そんな女の子はある時、母親のお手伝いで庭になっているベリーを採りにいきました。ジャムにでもするのでしょう。あのひどく甘ったるいジャムに。
しかし、それから30分たっても女の子は戻ってきませんでした。 女の子の両親は無駄に広い庭中を探し回りましたが、それでも見つかりません。 近所のお庭にお邪魔をしていないか、公園にでも行っているのだろうか、それとも自分の部屋でお昼寝をしてしまっているのではないだろうか? あちこち探し回ったけど、女の子は見つかりません。 気付けばお日様は傾き、空が赤く染まっている時間帯。両親はもう一度同じ場所を探し直そうと、最初に見に行ったベリーのなる庭へと足を向けるとそこに女の子はいました。 花壇にもたれ掛かり深く眠っている女の子に声をかけて起こします。 目覚めた女の子は、大きなあくびを一つ。そしてあたりをキョロキョロ見回すといきなりへんてこな事を口にしました
「ただいま、ママ、パパ」 庭で眠っていたのに、まるでどこかへ行っていたような言葉に、疑問を感じつつも両親は無事に見つかった愛娘を力一杯抱きしめました。 「あのね、ベリーはね、全部あげてしまったの。だから変わりにいろんなハーブをもらってきたわ」 益々よくわからない発言だったけど、両親は変わらず抱きしめ続けました。
女の子の花かごには、女の子の言うとおり、この庭には植えてない、それどころかこの国では手に入らないような物までいろんなハーブが入っていました。 とても不思議な事でしたが、この時は誰もそんな事を気にせず、女の子は両親の温もりに笑顔をみせるのでした。
めでたしめでたし
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