2015/10/07 23:08 「まぁ、素敵なお花ですね」 いつの間に訪れていたのか、それこそ花のような声が工房に響き渡る 「ええ、今朝市場で見掛けて…衝動買いと言うやつですよ。弟子達の練習台にもなりますしね」 それはそれは綺麗な花だった。花単体が美しいと言う訳ではなく、花束にするにあたって選んで束ねた花々の選択が見事だった。 たまには人ではなく、これを描くのも良いだろう。 「うふふ。そんな事言いながらもレオナルド様、貴方が一番に練習台としてお使いになさっているではございませんか」 くつくつと笑う彼女に、その花束から一つの花を抜き取り 「名前は知らないんですけど…貴女にはこの花が良く似合う」 差し出せばそっと受け取る細い指 「まあ、なんだか今日のレオナルド様はエツィオ様みたいですね。」 弾む声に綻ぶ顔。そっと香を試す仕草にさえ見取れてしまっていたわたしは描きかけの絵がもう完成しない事なんてどうでもよくなってしまっていた。 「そうですね、ではレオナルドさまにはこの花が良く似合います」 すっとわたしの帽子と髪の間に差し込まれた花はこれまた名前のわからない花。黄色く大きな花 「この花、私も名前は存じ上げないのですが…まるで咲いた笑顔のようで。」 花を髪に挿すなんて女性がするような事だが、彼女にやられてしまえば別段おかしな事ではないような気もしてくる 「レオナルド様にとても似合っておいでですよ」 名前の知らない綺麗な花を胸に抱きながら、微笑む彼女はその花束に似ていた。 ***** 諸事情で(同時期のリアタイ参照)眠れないのでACよりレオナルド夢。レオナルドはぱーって咲いたような笑顔のイメージがある。因みに黄色く大きな花は向日葵です。もう一つの花は考えてません← prev | next |