「この後はどうするの?」
「このまま依頼人の所に行って、お金貰って終わり。」
「わかった!」
思ったよりスムーズに事が運びこのまま何事もなければ予定より早くフェイタンの元に帰れそうだ、とルカはいつもより少し浮かれていた。
「嬉しそうだね?」
「えっ!?いや、まぁ…」
照れ隠しに短くなってしまった紅い髪をくるくると弄る。
「例の彼と一緒に住んでるの?」
「ほぼ…」
───なるほどね。スムーズに終わって早く帰れるから、かな。
イルミはそんな純情可憐なルカにちょっと意地悪をしたくなった。
「ルカってさ、彼以外の男は知らないんでしょ?」
「えっ!?えと…うん…」
「他の人に興味持ったりしないの?それこそクロロなんて、傍目に見ても良い男だと思うけど。」
イルミの矢継ぎ早な言葉ぜめにルカはあたふたし出す。
「そんなの、考えた事もないなあ。」
「え、じゃあさ、考えて見てよ。クロロ、どう?良い男?大した事ない?」
言われて考える。確かに非の打ち所がない。顔もスタイルも頭脳も強さも申し分ない。
それでいて冗談も通じるし、仲間を想う気持ちもある。
───確かに…良い男、だよね。それは間違いない。けど、でも…やっぱりフェイタン以外は考えられないなぁ。
ルカの出した結論はこう。
「団長は完璧過ぎて、高嶺の花というか…」
曖昧だ。
「イケメンはモテない。みたいな事?」
「あっ!そう、それ。」
と言ってからこれではまるでフェイタンはイケメンでは無いと言っているようだ。
「それに、違うんだ、フェイタンはなんて言うかそういうんじゃなくて…あーもう!わかんなっ!けど、フェイタン以外は考えられないよ!」
この話はもう止め!とルカが手をぴっと左右に広げる。
───ちぇ、もうちょっと意地悪したかったな。
イルミが残念そうにため息をついてから少しして、依頼人宅にたどり着いた。
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