イルミとお仕事
「じゃあ、行ってくるね!今夜中には戻るから!」
ルカは大好きなフェイタンに手を振ってフェイタンの家を出た。
フェイタンはルカの今日の仕事の相手にわずかな不安があったがそれがルカの意思であるならば、と送り出した。
ルカの事は信頼しているが、あの男は信頼に値しない。
───あの男、ルカに何かしたら絶対赦さないね。
あの男、とはイルミ=ゾルディックの事だ。
幻影旅団によるリオーネ財閥襲撃から1ヶ月、やはりフェイタンの予想通りリオーネ財閥が倒産した事により世間にはかなりの影響が出ていた。
株価の暴落も当然の事ながら物流が激減し、他国からの輸入も微々たる量しかない。
しかし1番影響があったのはもしかしたら裏の世界かもしれない。
リオーネ財閥をパトロンにしていたファミリーはことごとく解散、マフィア同士の抗争も息を潜めつつあった。
そんな中イルミからルカに一報があったのだ。
ノストラードと並んで力を持っていたマフィアの残党狩りだ。
イルミはこの度残党の暗殺を依頼されたそうだが、人数が多かった為ルカに声を掛けた、というわけだ。
リオーネ財閥襲撃の時の組んで仕事をしよう、という話が実現した瞬間だった。
ルカは世話になったイルミの力になるべく、すぐにフェイタンにその話をしたら当然嫉妬深いフェイタンの事、否定するかと思った。
ところが彼は二言。
「怪我しないように殺てくるね。」
と快く送り出してくれたのだ。
ルカにはそれが嬉しかった。自分の事を信じてくれていると。
もちろんフェイタンはイルミは信用していなかったがルカの性格は知っている。
ダメだと言ってもじゃあ一緒に行こう!と言うに決まっている。
フェイタンはそれでも良かったのだが、ルカに信用していない、と思われるのが嫌だったので送り出した、という次第だった。
リオーネ財閥襲撃、関わった人へのお礼参り、それからはルカはずっとフェイタンの家でフェイタンと過ごしていた。
毎日が幸福だ。たまにフェイタンは仕事の依頼を受けてふらりと出て行ってはその日の内に戻ってきてルカを抱き締める。
ルカも仕事をしていた。
それも、賞金首ハンターとしてだ。
賞金首で有りながら賞金首ハンター。
リオーネ財閥襲撃後ルカもついに賞金がついた。
リオーネの姓は消され、ただのルカになっていた。
ルカとしてもその方が嬉しかった。リオーネの姓など名乗りたくなかったから。
そんなわけで2人は最早切れる事の無い深い愛で繋がっていた。
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