キルアの話によると、今回のベンズナイフの依頼と、盗難は両方ともシルバの仕業だと言う。
その理由として、キルアの妹、アルカの名前が挙がる。
「アルカはある特別な能力を持ってるんだ。えっと……」
「あ、良いよ細かく話さなくて。私一応クモだしキルアが私を信じてくれてても他の仲間を信じていないのは当たり前だから。」
事前にルカにこう言ってもらえたことでキルアは話を進めやすい。
シルバはそのアルカの力を欲しているのだという。いや、厳密に言えばシルバだけでなく、家族全員がその為に動いているのだという。ただし、少し前までは共謀しているわけではなく、それぞれが独占しようとしていた。それは=支配ということである。
兄のイルミに至ってはアルカが別の者の手に渡る位なら殺そうとまでした位だ。
「あ、じゃあ例の一悶着って、それ?」
「ああ。あいつらアルカの事を物みてぇに。許せねぇよ。」
そしてその能力を未だに欲している彼らはいよいよ共謀してどうにかその能力を使わせ、それを元にアルカがいる居場所を探そうとしているのだという。
「ベンズナイフを盗むとアルカちゃんが能力を使うの?」
「いや、逆だ。アルカが能力を使うとベンズナイフは見つかる。」
キルアの説明にルカは勝手に相当な探索能力がある、位の解釈をした。
「なるほどね。それでわざとベンズナイフを盗ませた……。」
「ああ。」
「えっと、それじゃさっき言ってたナニカって言うのは?呼ぶとか呼ばないとか。」
「実はさ、まーわかりにくいからわかりやすく言っちゃうとアルカの体の中にはもう1人の人格がある。それがナニカ。で、その能力使えるのはナニカだけなんだ。」
二重人格は人格によって身体能力などが変わるというのは有名だがそういった特殊な力も使えるようになるというのは初耳だ。
「その人格をアルカちゃんは自由に引き出せるって事だね?」
「いや、アルカ本人は出せないけど、まぁそそこは色々あるから今は関係ねぇ。だからルカさん、巻き込んでるだけだけどこれはうちの騒動の続きなんだ。……でも力を貸して欲しい。リダさんの読み通りなら表も裏も知ってるルカさんがいてくれればナニカの力を借りないで済む。」
珍しくキルアが頭を下げる。それだけキルアにとってこの妹達が大切なのだ。
「妹さん達のこと、守ってあげたいんだね。……うん、もちろんだよ!協力するに決まってる!任せて!」
グッと胸の前で拳を握りしめてからアルカに向き直るルカ。
「アルカちゃん、安心して。キルアもだけど私もこう見えて結構強いから!それと、ナニカちゃん、貴方が危ない目に遭うとキルアが悲しむからキルアの力になりたくても今回は言われるまで出て来ちゃダメだよ。」
アルカとナニカ、2人に向かって言うとアルカは
「ルカお姉ちゃん、ナニカを見ていないのに、信じてくれるの?」
と不安気に聞いた。
「当たり前だよ!キルアが信じてる妹さんの事を信じないわけないよ!」
「ありがとう……!ナニカが凄く喜んでます。」
アルカは胸に手を当てて微笑む。
「さてと、それじゃ、本題だけど、リダさんは空間転移って言ってたけどゾルディックにそんな能力者はいるの?」
「いや……俺の知ってる限りではいないな。」
「それじゃ、知り合いには?」
「空間転移……あ、もしかして、あいつか?いや、でも何処で……」
「何か心当たりがあるんだね?」
「ああ。けど、そいつは空間転移の能力は隠してるっぽかったしどこで親父が知ったのか……」
「わかった、少し情報頂戴。そしたら仲間に協力してもらうから。」
キルアに空間転移の能力者の話を聞いたルカはしばらく別行動ということで颯爽と2人の前から去った。[ 34/39 ][前へ] [次へ]
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