2人がたどり着いた先には小さな朽ちた山小屋があった。
「いるみたいだね。」
明らかに人の気配がする。
「ああ、どうするか?」
フェイタンに聞かれてルカは考える。相手はネオンという人質を取っている。迂闊に近づけば殺されるだろう。策を思案していると、中から怒声が聞こえた。
「仲間はどこにいる!!」
それに対して返って来たのはネオンの声だ。
「仲間って何よう!知らないもん!」
「嘘をつけ!お前がクモの仲間だってことはわかってるんだ!」
バシッと叩く音が聞こえた。
「いったぁーーーい!何するのよ!」
「早く答えろ!あの村にお前が出入りしてる事はわかってるんだ!」
「出入りじゃないもん!住んでるの!」
「お前のその髪の色、いつまでもごまかせねぇぞ!」
「髪の色が何よ!」
流石マフィアの娘、気が強いというか、危機感が無いというか、とルカはフェイタンと顔を見合わせる。
相手もどうやらクモの仲間とやらを聞き出すまで殺す気は無いらしい。
次に犯人達から響いた声に二人は目を見開く。
「観念しろ!ルカ=リオーネ!!」
───!!!!???
当然、
「わたしルカじゃないぃーーーー!」
とネオンの声が響きドタバタと暴れているのかものが蹴散らされる音がする。
───流石ネオン様。基本わがままぶりは健在みたい。
くす、と笑うと
「フェイタン、勘違いみたいだね。」
フェイタンに囁く。
「ああ。はぁ……馬鹿の相手は疲れるね。」
重い腰をあげた。
「じゃ、正面突破で良い?」
「異議なしね。」
ルカも立ち上がり、山小屋のドアに手をかけた。
ギシッと古い木製のドアがしなりながら開く。
「だ、誰だ!」
ドアの両側から剣が交差する様にして侵入を防ぐ。
男達の目に見えたのは黒髪の男と黒髪の女。
「あーー!ルカ!助けに来てくれたの?この人達わたしはルカじゃないって何度も言ってるのに信じてくれないんだよー!」
ぶー、と頬を膨らませる。呑気にしている様に見えるがその頬は真っ赤に腫れ上がっていた。
「ネオン様、巻き込んでしまって申し訳ありません。今、片付けますから。」
ルカが笑うとフェイタンも続けた。
「お前らが探してるルカ=リオーネはこちね。そこの女はただのマフィア崩れの娘ね。」
「っな!そんなはずは無い!ルカ=リオーネは鮮やかな青い髪のはずだ!お、お前は黒髪じゃないか!」
ルカは頭に疑問符を浮かべる。
───どこでそう情報がいき違ったんだろ……。
しかしすぐに切り替えて、ウィッグに手を掛ける。
「その情報、間違ってますよ。元ルカ=リオーネの、ルカは私です。但し……」
ウィッグを取り払った。
「髪は、赤、ですけど。」
ばさっと肩甲骨の下辺りまで伸びた赤い髪が露わになる。
男達はネオンとルカを交互に見比べて口をパクパクとする。
そんな男達にフェイタンが一言。
「バカね。」
フンっと鼻で笑った。
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