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「やっぱりフェイタンすごいなぁ。私そこまで考えてなかった……」
しょぽん、とするルカ。先ほどの判断の事を言っているのだろう。

「ま、ルカはそういう能力だから助けること優先するのは仕方ないね。」

誰か怪我をしていれば基本的には助けてしまうルカはやはりクモらしかぬ人柄だった。しかしそんなルカだからこそ団員もフェイタンもルカが大好きなのだろう。
他には居ない人柄だから。

二人はネオンを救出すべくビザールに聞いてこの付近で人を拉致するのに向いていそうな場所を片っ端から探していた。

「それにしても、刀やぱり持てくれば良かたね。」

酒場から直接出て来たので二人とも武器らしい武器は持っていないし、ルカに限っては念の制約があるため現在の念の発動状況は10%だ。

「まさかこんなことになるとは思わなかったよ。ごめんね。」

素直にルカが謝ったが、フェイタンは首を振って
「別に良いね。接客よりずと良いよ。……ただ、ビザールから借りた武器がこれだからな……」
と腰に挿してあるククリナイフを取り出して見せた。

「なんかそれ、ビザールさんがグルメハンターとして活動する時に使うんだって。獣狩ったり、木の実取ったり、一番使いやすいんだってさ。」

「ま、試しに使てみるよ。」

くるくると何度か回してから鞘に納める姿はすでに使いこなしている様に見える。

そんな風にしてあちこち探し回る。メーメル村自体は大して広くは無いが、周りは森が多い。ルカが住んでいるところ以外にも使われなくなった山小屋や、洞窟なんかもある。

「ネオン様、どこ連れて行かれたんだろ……」
ルカが呟いた瞬間携帯が揺れる。
「はい。あ、ビザールさん?」
どうやらビザールからの電話だったようだ。

話を聞いていると、ライト=ノストラードが目覚め、ネオンの場所を確認してくれたらしい。
いくつか話をするとルカは電話を切った。

「フェイタン、近いみたい!」

「そうか。」

なぜわかるのか、ということはフェイタンにとってはどうでも良いことらしい。

ルカの案内で森を進んで行く。

いつもと服も武器も違うフェイタンは若干の動き辛さを感じながらも、10%しか念を使えないルカを守らなければと思っていた。

───相手がさき酒場にいた薄汚い男達なら多分ハンターね。そこらへんのマフィアよりは相当強いはず。

自分達の敵では無いが、と思っている反面で油断はできないと、気を引き締める。

「あっ、あれかな?」

ルカが指差す先にはフェイタンにはほとんど見えなかったが小さくごま粒程の光が見えた。

この辺りで育っているルカは実は視力がかなり良いのだ。

「よく見えるな。」

フェイタンも、というかクモも視力は皆良い方だが、ルカはやはり同じように森で育ったギュドンドンド族のボノレノフに匹敵する視力の良さを持っていた。

「ありがとう、あれ多分ロウソクの光だと思う。揺れてるし。距離はあと500位かな……」

概算でもそこまで見えるというのはやはりかなり羨ましい視力だ。

「それじゃ、ここから絶、で、静かに行くよ。」

「わかった!」

二人とも気配を完全に絶った。


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