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「わーーー!やっぱり似合う!」

思わず感嘆の声をあげてしまった。色はフェイタンらしくモノトーンだが、普段真っ黒でマントの様な服を着ている彼だけに普通の洋服を着ていると言うだけで新鮮だ。

「刀隠すところが無いね。それに、この服足短く見えるよ。」

背中の辺りをゴソゴソやってから、今度はボトムスに文句を言う。

「戦いに行くんじゃ無いんだから刀は良いの!それにそれはサルエルパンツ、流行ってるんだよー?」

「そうなのか?服の事はよくわからないね。」

なんだかよくわからないが、ルカが嬉しそうだからまぁいいか、と黙る。

「よし、それじゃ、酒場に行こ!」

フェイタンの手を取って、再び来た道を戻って行くことにした。



カランコロン……とドアベルの音にすぐ答えたのは

「いらっしゃいませーー!」

元気な声のネオンだった。

「あーーーーー!ルカ!とフェイタン!」

「お久しぶりです、ネオン様。」

「うわー!久しぶり!また黒髪にしてるの?」

「ええ、一応、賞金首ですから。」

コソッと囁くと、ネオンは、あ、そっか!と笑ってすぐに奥へビザールを呼びに行った。

酒場は昼間だというのに大変な賑わいを見せている様だった。

「混んでるねー。これは3人で回すのは確かに大変だ。」

ルカが言ってフェイタンがそれに頷いていた。そしてもう手伝わされるだろうな、という諦めもついていた。

それでもまぁ、ルカが楽しそうだから良いか、と納得してしまう辺り甘くなったものだ。

「ルカちゃん、フェイタンくん、よく来たね!積もる話もしたいところだが、店の状況がこれでね、悪いんだが早速……」

ビザールが言いかけるのをルカが制止して
「任せてください!手伝います!」
と張り切っていた。

「じゃ、頼むよ。ルカちゃんはネオンちゃんと一緒にホール、フェイタンくんはカウンターだ。」

一応フェイタンの、他人と接する事が好きでない性格を考慮してか、ビザールはフェイタンをカウンター内へ入れた。

「ワタシ何すれば良いか?」

「ああ、私は調理に追われてるから、酒を作るのを頼むよ。わからない調合あれば、そこに書いてあるから。」

「わかたよ。」

ビザールに示された酒のレシピを確認しながらそう答えた。

「オーダーでーす!チェリーサワー一つ、ブラッディマリー一つ、あとメロンソーダ一つ!」
ネオンの声が響いてフェイタンは早速作業に取り掛かった。

そんな風にして、手を止めることはなく酒場の様子も見ていた。

ルカは確か酒場の手伝いもよくしていた、と言っていた。その言葉通り客の何人かは知り合いの様で楽しげに話していた。
黒髪、黒目になっていることは適当に誤魔化している様だ。

店内を見回すと、大半が地元の客の様だが、カウンターから見て一番奥の席、確か以前クロロとルカとフェイタンと三人で話をした席だ。
そこに明らかにカタギではなさそうな男が三名座っていた。
───ノストラードの関係者か、ワタシ達の事を嗅ぎつけたか……

トントンとカウンターに注文された酒を置きながらルカに目配せするとルカも気がついている様だ。そして、ビザールも。



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