ネオンとお仕事

何日か前にビザールから酒場の応援を頼まれた。

ネオンが酒場で働く様になってからというもの、男客が増え、さらにはネオンの父であるライト=ノストラードのマフィアで長年生活して来た話が受け、酒は頼まないものの子連れの客も増えたらしく、店はてんてこ舞いだそうだ。

ルカは二つ返事で快く引き受けると、なんとフェイタンも着いて来ると言うので驚きながらも連れ立ってメーメル村までやって来た所だ。

「フェイタンが手伝ってくれるなんて意外だったよ!」

ルカが嬉しそうに言うと

「手伝うとは言てないね。着いて行くと言ただけね。」

さらっと手伝うことに関しては否定するフェイタンにルカはガクッと肩を落とす。

「そういうことか。」

「そうね。それにルカだて賞金首ね。変装しないとまずいと思うよ。」

「大丈夫だよー!負けないと思うし。」

ルカはそう言ったがフェイタンは
「ルカが大丈夫でもこの村が危ない、ということね。」
と言った。それに気がついたルカはハッとして
「そ、そっか!!それもそうだね!じゃあ1度家に寄って行こう!」

フェイタンの手を取ると酒場に向かっていた足を90度変え、森へと入って行った。




家に辿り着いた二人、フェイタンには適当に座っていてもらい、ルカは変装を始める。というのも実は例の一件からルカは黒髪を気に入ってしまい、黒髪のウィッグを購入していたのだ。

「これ、被って、カラコン入れて……あ、フェイタンも酒場いくなら服位変えた方が良いかな?」

くるりと振り返ってフェイタンに聞いたが
「服て言ても持てきてないよ。」
と答える。
その答えを聞いたルカはニヤァと悪戯な笑みを浮かべる。
「何ね、その顔……」

「ふふふー、ちょーっと待っててねー!」

ルカは嬉しそうにタンスをゴソゴソと漁ると

「じゃじゃーん!」

ばさっとルカがタンスから取り出したのは、どうみても男物の服だった。
「何でそんなもの持てるか。」

「へへへー、驚いた?実はこのウィッグとか買いに行った時に一緒に買っておいたんだ!ね、これ、着てみて!」

ルカに服を渡される。
広げてみるといかにもルカが好みそうな、緩めのファッションだった。

「ワタシがこれ着るのか?こんなの着たことないね。」

「お願い!絶対似合うから!」

翠の瞳でそう言われてしまうと断れない。

「……ま、そこまで言うなら着てやてもいいよ。」

バサと上衣を脱ぎ捨てる。

「わわ、ちょっと……」

顔を真っ赤にして手で隠す。今更恋人の着替えを見ても普通はさほど恥ずかしいなどとは思わないはずだが、そこはさすがルカと言うべきか、いつまでたっても初心なままだ。

もちろんフェイタンはそんなところも気に入っているのだが。

くる、と背を向けるルカをよそ目にさっさと着替える。彼は着替えも早いのか数秒も経たない内に
「終わたよ。」
と声が掛かった。

それからルカも着替える。


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