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コツコツと廊下を進む。すれ違う人間は全て殺している。

「もー、フェイタンが参加すると急に血生臭くなるんだよなぁ。」

「は、別に問題無いね。それよりお前どういうつもりね。ルカはワタシの女ね。」

やはりその話題が来たか、と身構えたが

「いや、一応ハンターカップル限定のイベントだったし、ってか二人はどうやって入って来たの?」

と思い出した様に聞くとフェイタンは

「ああ、ハンターライセンスは顔写真が無いから便利ね。」

と答えた、
つまり参加する予定だった男女を殺して奪った、ということを言いたいのだろう。

「そんなにあの太刀欲しかったの?」

「お前知らないのか?ムーラ・マーサと言えば妖刀で有名な刀工ね。多分ルカに預けておいた太刀もワタシ達の相性だけじゃなくて悪意に反応したと思うよ。」

「さりげなく自慢してるし。」

口を尖らすシャルナークに勝ち誇ったような笑顔を浮かべるフェイタンを見てシャルナークはしみじみと言う。

「それにしても、フェイタン、変わったよね。」

「はは、ま、そうかもな。だとしたらルカのおかげね。」

そう話すフェイタンはやはり変わったと言える。それがクモにとっては良いのか悪いのかと言えばわからないが、少なくともフェイタンはルカの事になると普通の三倍は動きも感性も良くなる。それだけは明確な事実だった。

「あ、あった、モニタールーム。」

シャルナークの目指していたのは情報が集まるモニタールームだった。

ドアを開けるとすぐに中にいた従業員達が振り返る。
「何の用だ?ここは関係者以外立ち入り禁止だぞ!?」

中の一人が言ったか否か、人の合間をくぐり抜けてシャルナークがアンテナを刺す。

「フェイタン!」

「わかてるね。」

シャルナークがアンテナを刺した男以外の首が飛ぶ。

当初の予定では殺しは無しにするつもりだったが、特に手段は問われていないし、フェイタンが参加した時点で殺しなしの仕事は諦めた。

シャルナークは一人生かしてある男を操作するとデータを探す。しばらくモニタールームのパソコンをカタカタといじっていたが、
「あった、これだ。」
とつぶやいて依頼主から預かって来たらしいメモリーに保存していく。
「じゃ、フェイタンまたよろしく。」
「わかてるね。」
再び、今度はフェイタンは仕込刀をスラリと抜くと、モニタールームにあるパソコンからモニターまで全てを物理的に破壊していく。ついでに操られていた男も。

データを抜き取った痕跡を隠すためである。

二人は事を終えるとさっさとルカ達の元へと戻っていく。



「あ、帰ってきた!」

まだ姿は全く見えない。
「え、そうなの?よくわかるね。」
「へへ、フェイタンの事ならね。」
顔を赤くして照れるルカを見て二人の仲は相変わらずだな、なんてことをシズクが思ってから少しして二人が帰ってきた。

「終わたね。」

ルカに預けていた太刀を受け取りながら言う。
「お疲れ様。なんかごめんね、結局私何もしてないや。」
ルカが言うとシャルナークは手を振って
「良いって良いって。会場にすんなり入るのが目的だったんだからさ。」
シャルナークはそう言った後

「あ、そう言えば例の情報だけどね、その太刀、それ手放した方がいいかもよ。」

と言った。
「何故ね?」

「奪って来たデータによると、それ、犯罪者のあぶり出しに使えるらしい。さっきフェイタン自分でも言ってただろ?悪意に反応したって。」

「ああ、なるほど、それが本懐てことか。」

シャルナークによるとムーラ・マーサは愛した女を犯罪者に殺されたらしい。その為この太刀は血の臭いの強い人間に強く反応するらしいのだ。フェイタンは会場に来る前シズクと共にライセンスを奪うため二人のハンターを殺している。その為だろう。そして片方の刀身が消えるともう片方も消え、消えた刀身は互いの刀身が一定距離離れると元に戻る。それにより愛の過多である様にカモフラージュ出来るが、本来は犯罪者をあぶり出す為に使われるとの事だった。

「へー!すごいね。そんな念をこめたんだ。」
感動しているルカを見て、それからフェイタンは太刀をその場に放り投げた。

「ち、弱い奴の最後の手段か?馬鹿馬鹿しいね。ルカ、帰るよ。」

フェイタンはルカの手を取って会場を後にする。


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